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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「True Name™ by Mastercard」の動画より

LGBTQIA+、特にトランスジェンダーやノンバイナリー(性自認が男性・女性の枠に当てはまらない)の人たちにとって、クレジットカードで買い物をするのは、時に苦痛をもたらすという。外見とカードに書かれている名前の性別が一致しない場合、店側に支払いを拒否されたり、嫌がらせを受けてその場から立ち去ることを求められたりすることがあるからだ。

そこでマスターカードは、「True Name」という取組みをスタートさせた。きっかけは、マスターカードのクリエイティブチームで働くトランスジェンダーのメンバーが、立ち寄ったデリで戸籍上の女性名で呼ばれた時の苦痛について語ったことだった。顧客が自ら選んだ名前、つまり「True Name」でクレジットカードをつくれるようにしたのだ。

このマスターカードの「True Name」の広告企画は、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つカンヌライオンズ2020~2021のブランド・エクスペリエンス&アクティベイション部門でグランプリを受賞した。



当初は銀行からも拒否された


このクレジットカードのアイデアが採用されても、実施するまでの道のりは簡単ではなかったという。クレジットカードは支払いについての決済を銀行に依頼しているため、カード会社が顧客の選んだ名前でクレジットカードを発行したいと考えても、銀行が承認しなければ実行はできないのだ。

当初、マスターカードが銀行にこの企画について持ち掛けたところ、どの銀行からも断られてしまったという。銀行業務にとっては一種のリスクと捉えられたからだろう。

そこで、マスターカードは、このカード「True Name」での支払いについては、決済までをもマスターカードが担当することを選択してサービスを開始した。

文=佐藤達郎

マスターカードブランディングマーケティング
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