ビジネス

2021.10.13

アニメは仕事につながる自分磨きだ! 武器としての「オタク論」

マクアケ創業者は、筋金入りのアニメオタクだった──。多忙を極めるなかオタ活を続けるのは、ビジネスにも効用があるからだと説く。


突然だが、私は年間で約500話以上のアニメを見るほどのアニメオタクだ。そんな生活を、かれこれ6年ほど続けている。気づけばとんでもない量だが、今回はこんなビジネスマンもいるんだなというくらいで読んでいただければと思う。

きっかけは、2014年のある仕事だった。早世した今敏というアニメ監督の未完の遺作があると知り、「Makuakeを使ったら完成させられるのでは」と提案に行くことになった。その際、アニメのことを何も知らないで行くのはよくないと思い、事前に今監督の作品はもちろん、アニメオタクの友人から薦められた名作を20作品ほど視聴したのが始まりだ。面白さに一気にハマり、そのままアニメオタクとなってしまった。

残念ながら今監督の遺作の実現はかなわなかったが、それがきっかけとなり、同じプロデューサーが手がける『この世界の片隅に』の映画化実現にMakuakeが大きくかかわれたことは、私としても思い出深い仕事になった。

その後もいまに至るまで、寝る前に見たりジムで走りながら見たりと、さまざまなタイミングでアニメを鑑賞しているが、実は私なりにビジネスハックにつながる理由がある。

普段、ワーカホリックな私は、寝ても覚めても仕事のことを考えがちで、頭を真っ白にしようと思えば思うほど仕事のことが浮かんできてしまう。おそらくゴルフやサーフィンなど、皆さんいろいろな趣味やルーティンで頭をリセットしていると思うのだが、私にとってそれはアニメなのだと思っている。特に、寝る前にアニメコンテンツを脳みそに注入することで強制的にほかの考えを排除して一日をリセットして、毎日の集中力にリズムをつくっている。

思わぬ効用もある。起業家やリーダーは、時に現状からは想像もつかないようなビジョンやアイデアを出すことを求められる(かのスティーブ・ジョブズのプレゼンは現実歪曲フィールドと呼ばれたが、あれは決して彼の専売特許というわけではない)。多くのアニメは、絶望的な苦難の先に成功が待ち受けているというストーリーで展開されるので、アニメの世界観に日ごろから親しんでいると、現実世界でも、まるで現実を歪曲するようなアイデアで苦境や目標を突破できることが多々あるのだ。

誰もが現実歪曲フィールドの技を使えるようになるヒントが、アニメに詰まっているのかもしれない。
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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN No.087 2021年11月号(2021/9/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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