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スノーピーク 代表取締役 社長 山井梨沙(撮影:小田駿一)

上下関係、ジェンダー、社内外の枠組みなどに縛られずに、チームや組織、あるいは業界に多くの実りをもたらした女性たちは、何を考え、どう行動したのか。

Forbes JAPANでは、これまでの考え方や既存のシステムを超えて活躍する女性にフォーカスした企画「Beyond Systems」を始動。約3カ月にわたり、翻訳コンテンツを含めたインタビュー記事を連載していく。



「人間性の回復」をミッションに掲げ、アウトドア製品の開発販売にとどまらず、“衣食住働遊”の領域で幅広い事業を展開するスノーピーク。コロナ禍がもたらしたキャンプブームを追い風に、15期連続増収という好調な業績が注目されている。

同社を率いるのは、3代目社長の山井梨沙だ。2020年3月に就任した直後は、女性かつ32歳という年齢から「小娘に何ができる?」という世間からのバッシングも経験した。しかし「結果を出すことが全て」と自分に言い聞かせ、その言葉通り確かな結果を残してきた。

スノーピークの未来を切り拓く若きリーダーは、キャリアのターニングポイントをどのように乗り越えてきたのだろうか。

日本がダメなら、海外に行くしかない


すっと伸びた背筋、落ち着いた物腰──。スノーピーク創業家で4人兄弟の長女として生を受けた山井梨沙には、生まれながらに運命の道を歩んできたかのような雰囲気がある。

しかし、もともとは「社長になるつもりは全くなかった」という。

前社長であり父でもある山井太会長からは、「継がせるつもりはない」と言われ続けていた。経営という厳しい仕事を娘に任せるわけにはいかないという、会長なりの配慮があったそうだ。


7月に開催されたSnow Peak LIFE EXPO 2021にて、未来構想について語る山井梨沙社長と山井太会長(撮影:コヤナギユウ)

それならばと、山井は興味の赴くままにファッションの道へ進んだ。大学卒業後、国内のアパレルブランドで働き始めたが、ほどなくスノーピークへの入社を決める。24歳のときだった。

「『自分が本当に届けたい価値観を、文化をつくることによって伝えたい』という想いがあって、スノーピークならそれを実現できるかもしれないと思ったんです。スノーピークの仕事は、自然環境や人間関係といった土壌の上で成り立っています。文化をつくり続けてきた父の姿をずっと見てきた影響は大きかったですね」

入社してから2年後の2014年、山井はアパレル事業を立ち上げた。いまでこそ、ファッション性の高いアウトドアウェアを日常的に着こなすカルチャーは日本にも広く浸透しているが、当時は決して一般的ではなかった。

「私は子どもの頃からキャンプに親しみ、自然の中で育ってきたので、地球に生きている以上は全ての人が自然と関わったほうがいいと思っていました。

ところが、当時のアウトドアウェアは、機能優先の派手な服ばかり。私が着たいと思える服は1つも見つかりませんでした。そこで、もっと日常的に楽しめるアウトドアウェアが増えれば、休日にキャンプに行く人は増えると思ったんです。すでにアメリカでは、年齢や性別問わずさまざまな人がアウトドアウェアを普段着として着こなしていましたから」

文=一本麻衣 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司 編集=松崎美和子

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