アフターコロナの“次の一手”は
そんな小野さんの“次の一手”は、旅館を「京都のショールーム」にすること。オンラインで行ったインターンシップで、国内外の学生とブレインストーミングをしているなかで出てきたアイデアだという。
「学生の方が、『旅館は京都のショールームになるべき』だと言うのです。その話を聞いて、挑戦してみようと考えました。客室に、京都を代表するような上質な調度品を集め、気に入ったら売っている店に買いに行けるようにするのです」
10月には主要都市で緊急事態宣言が解除され、GoToトラベルの再開も検討されている。小野さんは旅館に客足が戻ってくる時に向けて、「旅館の本質に立ち返ろう」との思いを強くしている。
「宿泊業は客室稼働率を高めることに躍起になってきました。ですが、客室がすべて埋まると、仲居さんがお客さまの名前を覚え切れないなど、どうしてもきめ細かいサービスが難しくなってしまいます。これでは、旅館の良さが感じられません。
客室稼働率は高めずに、これまで以上の質の高いサービスを追求する。そのためには高単価化を目指すとともに、さらなる業務の効率化も進めなくてはなりません」
創業から190年以上にわたって数々の苦難を乗り越えてきた老舗旅館。PRという武器を手に入れた若女将の挑戦は、これからも続く。