ビジネス

2021.10.11

3億の売上がコロナ禍で3分の1に。「若女将」のPR力が京都の老舗旅館を救う?

京都の台所・錦市場から徒歩2分の好立地にある「綿善旅館」


アフターコロナの“次の一手”は


そんな小野さんの“次の一手”は、旅館を「京都のショールーム」にすること。オンラインで行ったインターンシップで、国内外の学生とブレインストーミングをしているなかで出てきたアイデアだという。

「学生の方が、『旅館は京都のショールームになるべき』だと言うのです。その話を聞いて、挑戦してみようと考えました。客室に、京都を代表するような上質な調度品を集め、気に入ったら売っている店に買いに行けるようにするのです」

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10月には主要都市で緊急事態宣言が解除され、GoToトラベルの再開も検討されている。小野さんは旅館に客足が戻ってくる時に向けて、「旅館の本質に立ち返ろう」との思いを強くしている。

「宿泊業は客室稼働率を高めることに躍起になってきました。ですが、客室がすべて埋まると、仲居さんがお客さまの名前を覚え切れないなど、どうしてもきめ細かいサービスが難しくなってしまいます。これでは、旅館の良さが感じられません。

客室稼働率は高めずに、これまで以上の質の高いサービスを追求する。そのためには高単価化を目指すとともに、さらなる業務の効率化も進めなくてはなりません」

創業から190年以上にわたって数々の苦難を乗り越えてきた老舗旅館。PRという武器を手に入れた若女将の挑戦は、これからも続く。

文=下矢一良

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