米国で高まる中国脅威論、レノボやDJI、TikTokも禁止すべきとの声

米連邦通信委員会 / Getty Images

米連邦通信委員会(FCC)は、6月に安全保障上許容できないリスクをもたらす機器の使用を禁止する規則案を全会一致で採択した。この提案は、2019年に議会で可決された「安全で信頼できる通信ネットワーク法(ecure and Trusted Communications Networks Act)」に基づき、超党派議員が提出したものだ。これまでもリスクを防止する法律が存在したにも関わらず、FCCは2018年だけで3000ものファーウェイ製のデバイスを承認していた。

多くの人は、ファーウェイやZTE製のスマートフォン、ハイクビジョン(Hikvision)やダーファ(Dahua)製の防犯カメラなどの中国製品のリスクに気づいていない。これらの製品は、アマゾンやベストバイ、ウォルマートなど、多くの店舗で販売されている。本記事では、今回の審議に関連する関係者たちの発言を紹介する。

中国製品のリスクを検証するウェブサイトChina Tech Threatと、コンサルタント会社BluePath Labsの2社は、FCCは禁止対象とすべき企業やテクノロジーを再定義し、リストを作り直すべきだと提言した。現在のリストに含まれる企業は、ファーウェイ、ZTE、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファの5社だが、基準に抵触する企業は数十社に上る。

両社は、レノボとメモリメーカーのYMTCが技術と行政の両面で「安全で信頼できる通信ネットワーク法」の基準に抵触するため、FCCの対象リストに追加するべきだと提言している。米国の複数の調査機関が、レノボ製機器においてトラフィックがリダイレクトされた事例を報告しており、米国防総省は、セキュリティリスクを考慮して省内でのレノボ製機器の使用を禁止した。

また、ホワイトハウスは、最近公表したレポートの中で、YMTCが機器やネットワークを停止させるキルスイッチを実行できると指摘している。

「偽の草の根運動」の疑惑


審議には、ハイクビジョンとダーファを擁護するコメントが多く提出されたが、その半数以上は両社が集めたものだと考えられる。監視カメラの業界団体IPVMのレポートによると、ハイクビジョンは中小企業の顧客に大量のメールを送り付け、コメントの書き方を指導した。さらに、ハイクビジョンのサイトには、コメントの提出期限を示す時計が表示されていたという。ダーファもこれと似た活動を行ったとされている。

さらに、ハイクビジョンの製品は遠隔からハッキングされる可能性があり、政府や軍関連の施設に設置されたものを含む数百万台のデバイスがリスクに晒されているとの指摘もある。ハイクビジョンは、ゼロクリックで遠隔からコードを実行できる脆弱性を認めたばかりであり、自社を擁護するコメントをでっちあげたとされている。

別のグループは、中国製品が大量に普及したことにより、米国民の経済的機会が減少すると指摘している。米国のメーカーや農業生産者、労働者などによる保護主義グループ「The Coalition for a Prosperous America」(繁栄するアメリカ連合)は、次のようにコメントしている。

「米国では、テクノロジーの食物連鎖における抜け道が拡大している。これは、安全保障上のリスクであると同時に、経済的機会の逸失につながっている」
次ページ > DJIとTikTokも禁止すべき

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事