ビジネス

2021.10.11

リースの仕組みこそサステナブル。「SX」の先駆者が語る成功への道

馬場高一 東京センチュリー 取締役専務執行役員 経営企画部門長


オウンドメディアで従業員の声を発信


いまやサステナビリティへの取り組みは、どの企業の経営計画書にも判で押したような文言が記載されている。馬場によればそれらは「ESG 1.0」「SDGs 1.0」であり、他社との差別化を図るためには「2.0」へバージョンアップし、それを従業員や株主に訴求していかなければならない。

サステナビリティ委員会の委員長も務める馬場が目指すのは、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」だ。それはDX(デジタル・トランスフォーメーション)とGX(グリーン・トランスフォーメーション)をかけ合わせることで達成されるという。実際、東京センチュリーは環境分野だけでなくDXにも注力し、経済産業省が発表する「DX銘柄」の前身である「攻めのIT経営銘柄」から数えて、7年連続で選出されている。

SXに向けた取り組みのひとつとして東京センチュリーは、今年2月にオウンドメディア「東京センチュリーNEWS」を立ち上げた。そこではトップの主張だけでなく、従業員の声も拾い上げ、事業やサステナビリティに対する姿勢や考え方を紹介。英語版も作成し、国内外に東京センチュリーの“いまの姿”を多角的に発信している。

オウンドメディアの画面写真
「東京センチュリーNEWS」では、コーポレートスローガンをもとに、「その挑戦を応援するメディア」と位置づけ、世界各地の社員やパートナー企業の挑戦を紹介。読者の課題解決のヒントになる記事を発信している。

「投資家は、その企業が本当にサステナブルな会社かを見極めようとしており、『東京センチュリーNEWS』はその判断材料のひとつになります。東京センチュリーが何をしている会社で、どういう従業員がどういう気持ちで働いているかを知ってもらうことが、当社のことを知ってもらうために大事だと思いますし、我々の経営理念に共鳴し、新しい人材が入ってきてくれるようになればと考えています」

東京センチュリーは人材投資にも力を入れている。ESGというとどうしても「Environment(環境)」と「Governance(企業統治)」が先行するが「、Social(社会)」も大事だと馬場は強調する。なかでも同社が重視するのは、従業員のワーク・ライフ・インテグレーションであり、従業員エンゲージメントの向上だ。東京センチュリーNEWSは、従業員に会社のパーパスや想いを伝える役割も担っている。

同社の長期目標の「多様な人材が活躍・融合するグローバル・コーポレート・グループ」は、ただ優秀な人材を集めるだけでは実現できない。

「企業のパーパスと従業員のパーパスが一致しないと、従業員は幸福感をもって働けません。それを一致させるにはやはり経営理念が大事であり、それに共鳴することで互いのパーパスが一致し、企業は持続的に発展していくのです」


ばば・こういち◎1961年生まれ。1985年東京大学法学部卒業、1994年米国ペンシルベニア大学ロー・スクール卒業。2014年東京センチュリーリース(現東京センチュリー)執行役員経営企画部長。2018年より現職。東京センチュリーのサステナビリティ委員会委員長も務める。

文=大橋史彦 写真=ヤン・ブース 編集=本間香奈

この記事は 「Forbes JAPAN No.087 2021年11月号(2021/9/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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