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高原豪久 ユニ・チャーム 代表取締役 社長執行役員

Forbes JAPAN11月号(9月25日発売)の特集「最強のサステナブル企業100社」のなかで、企業のトップの「発言一貫度」ランキングで第1位となったユニ・チャーム。

39歳の高原豪久が社長に就任したばかりの2001年、同社のアニュアルレポートでは、スローガンに「共振の経営でTOP OF TOPの実現」が掲げられ、企業理念である「NOLA&DOLA(ノーラ&ドーラ、解説は文中)」の対象を従来の女性から広げて「生活者の束縛からの解放、生活者の夢をより多く叶える」へと変更するにいたった理由が解説されていた。

それから20年。21年度の統合レポートにも、表紙をめくってすぐのページに、同社のバリューである「共振の経営」、そしてビジョンとして「NOLA&DOLA」の文字が変わらずにあった。




「なぜ、同じことを言い続けるかというと、言い続けないとなかなか理解されないからなんです」

左手首にApple Watchを着け、膝の上には5代目になるiPadを載せ、還暦を迎えた高原は言う。

最新の統合レポートに「ユニ・チャームはSDGs達成に貢献することを『パーパス』(存在意義)と考えています。(中略)当社の目指す『共生社会』とは、全ての人が自立し、互いに助け合うことで、自分らしく暮らし続けられる社会です」ともある。

「理解し、納得してもらうためには、一貫性のあることを言い続けないといけません。ただし時代とともに表現や言葉は変わり、新しい言葉も生まれます。同じことをNOLA&DOLAと言ったり、共生社会と言ったり、SDGsと言う。一貫性だけではなく可変性も意識しています」

NOLA&DOLAのロゴ
NOLA&DOLA(Necessity of Life with Activities & Dreams of Life with Activities)は「生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする+生活者一人ひとりの夢を叶えることに貢献する」の意。

とはいえ、どんな言葉でもすぐ取り入れるというわけではない。「最近はよく『ダイバーシティ&インクルージョン』といわれますが、社内であまりダイバーシティという言葉は使いません。インクルージョンは『目的』であり、ダイバーシティは『手段や方法』ですから。意識して違いを認めようとするよりも、違いを意識することなく、自然に受け入れるような社会を理想とすべきじゃないかと思うんですね。それが共生社会だと思います」。

表現を変えながら同じことを言い続ける習慣は、経営者の立場を創業者である父・高原慶一朗から引き継いだ後に身につけた。

「就任当時は経営者として実績もなく、周りは年上の先輩たちばかりなので、自分の思いを『背景』や『起承転結』を含めて簡潔に説明しなくてはいけなかった。自分の言葉を発信し続けていると、どんどん結晶化するというか、相手とキャッチボールしながら研ぎ澄まされていくのを感じました」

いまもブログを書き続けている。また、誕生日を迎えた社員には毎朝、祝福のメールを送り、言葉を伝え続けることで、組織に「共振」を仕掛ける。

共振とは、高原がつくり上げたメソッドだ。日々の工夫やアイデアが経営と現場の間を行ったり来たりすることで、現場の知恵を経営に生かし、さらに経営の視点を現場が学ぶという手法。カリスマと呼ばれた先代社長が社内で絶対的存在になっていて、社員が指示待ち状態になっていることに危機感を抱き、2代目独自の経営手法を編み出した。

文=片瀬京子 写真=ヤン・ブース 編集=神吉弘邦

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