無意識のうちに部下を妨害してしまう上司とその対処策

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こうした状況の起きやすさは、上司によって異なる。筆者が創業したリーダーシップIQが開発した、100万人を超えるリーダーが受けた「What’s Your Leadership Style?(あなたのリーダーシップスタイルは?)」テストによれば、「実用論者(Pragmatist)」スタイルのリーダーは、他のスタイルのリーダーよりも、この罠に陥りやすいという。

このタイプのリーダーは、信じられないほど高い基準を持ち、誰もがその基準を満たすことを臆面もなく期待する。野心的で競争心が強く、人の気持ちよりも、自分の目標達成を優先する。この説明から予想がつくかもしれないが、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、故スティーブ・ジョブズといった有名なリーダーの多くは、このスタイルの典型だ。

難しい課題にやりがいを感じたり、大きな野心を持っていたりする部下なら、おそらくこのタイプのリーダーに非常にうまく対応できるだろう。そして、たいていの場合は、非現実的な期待を、妨害の一形態として見るのではなく、自分をさらに成長させるための課題と受けとめるだろう。だが、もっとリラックスした職場を求めている社員は、そうした強烈な暗黙の期待を、しばしば自分を損なう行為のように感じてしまう。

幸いなことに、原因になっているのが上司の意識的思考であれ無意識の思考であれ、こうした妨害を止める手軽なワザがある。次に仕事を割り当てられたときに、上司にこんな質問をするだけでいい。「このプロジェクトには、実際のところ、どれくらい時間がかかると思いますか?」

この質問をすることで、上司があなたの評価に使っている暗黙の基準が明らかになる。上司がもともと期限を3日後と伝えていて、あなたの質問にも「3日」と答えたのなら、なんの問題もない可能性が高い。だが、「最初は3日と言ったが、正直なところ、自分なら1日でできると思う」と答えた場合には、あなたは自分が何に直面しているかを把握できる。

1日という期待には応えられないかもしれないが、少なくとも、自分がどのような基準で評価されるのかがわかる。そして、あなたがその基準を満たせるのなら、上司を心底感心させる鍵を手に入れたことになる。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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