世界90カ国で1位、韓国ドラマ「イカゲーム」の圧倒的リアリティ

Netflixドラマ『イカゲーム』(c) Youngkyu Park / Netflix

ネットフリックスの韓国ドラマ「イカゲーム(Squid Game)」が、世界90カ国で1位を記録する大ヒットになっている。同社の共同CEOのテッド・サランドスは、「これまでで最大の番組になる可能性が非常に高い」と述べており、世界中の視聴者の共感を得ていることは確かだ。

米国でも、韓国のシリーズとしては初めて1位を獲得し、9月21日からトップを維持している。巨額の賞金がかかった謎のサバイバルゲームに参加した人々が、命をかけて戦う姿を描く「イカゲーム」は、かつての「バトル・ロワイアル」や「ハンガー・ゲーム」を連想させる死のゲームをテーマにした作品だが、今の時代を反映した緊張感のあるスト―リーで、視聴者を引き込んでいく。

ここ最近、アメリカで人気を博している韓国映画にはカンヌ受賞作品の「パラサイト」など、社会の経済格差をテーマにしたものが多いが、「イカゲーム」も反資本主義的な寓話をベースとしている。また、煮えたぎるような緊張感とエスカレートしていく展開が、イッキ見を誘う内容になっている。

「イカゲーム」には、借金と死という要素がふんだんに盛り込まれており、ほぼすべての登場人物の根底に、経済的不平等が描かれている。

主人公のソン・ギフンは、事業に失敗して離婚し、ギャンブルで多額の借金を抱えて絶望している。彼は、母親が稼いだ金をギャンブに使う非情な男として描かれるが、ゲームが始まると、思いやりのあるキャラクターとして描かれる。

彼は、資本主義社会では失敗したかもしれないが、絶望的なゲームの中では、人間性を保つことに成功している。

「イカゲーム」がこれほどの支持を集めるのは、このドラマで描かれる世界が、現実の社会と驚くほど似通っているからだ。顔が見えない支配者たちが、天井から札束をぶら下げて、人々を番号で呼び、命がけのゲームに参加するよう呼びかけるという設定は、国境を超えて世界の視聴者の心に響いている。

この作品の脚本を、「2009年に完成させていた」という監督のファン・ドンヒョクには、驚くほどの先見の明があったと言えるだろう(この作品は、ネットフリックスに採用されるまでの10年間、スタジオから拒絶され続けていたという)。

「イカゲーム」の世界的大ヒットは、多くのクリエーターたちに影響を与えることになりそうだ。

編集=上田裕資

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