自分のキャリアは自分で作る。個の時代に会社はどうあるべきか?

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会社の仕組みと同時に大事なのは、リーダーの考え方と求められるリーダーシップの変化だ。多くの企業が仕組みを作り始めているが、それを実行するのは一筋縄ではいかない。

例えば、1on1。いきなり社員と2人でキャリアの話をしろと言われても自分がそんな話を誰ともしたことがない人も多くいるのではないかと思う。学ぶ機会の提供と言っても自らが現場で教えられて育ってきたので、メンバーにどんな風に機会を提供していいのかわからないこともある。リーダーには更なる学びと変化は求められているのである。


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ではリーダーにできること、するべきことはなにか。以下5つ挙げてみたい。

1. キャリアカンバセーション
キャリアについての考え方や今後についてどう考えているかを対話する

2. セルフマネジメントを支援する
強み・弱みなどの自己認識を高め、成長していけるよう支援する

3. 学ぶ機会の提供
自己認識に基づいて、伸ばしたい所、会社として成長してほしい分野における学ぶ機会を提供する

4. Well Beingと働くのバランス
メンバーの人生の中の豊かさを考える、休暇のあり方を考える、働き方の選択肢を幅広く持つ

5. 「強烈な」心理的安全性を与える
思ったことを気兼ねなく発言してもらえる場を作る

「今、幸せですか?」と聞く理由


日本やシンガポールで異なる会社を経験し、17カ国籍のチームのマネジメントを経験してきた私が、新しい組織のリーダーになった時にはじめの1on1で必ず聞く質問がある。

「今、幸せですか?」というシンプルな問いだ。聞くと、多くの方が戸惑ったり、「う~ん」と考え込んだりする。

この質問の本質は二つある。リーダーとして、メンバーが自ら考えないことを質問することにより思考を深めるのを支援すること、そして、その人が幸せかどうかはチームにとって重要であることを伝えることだ。

質問をしたら、答えにじっくりと耳を傾ける。あるいは答えが出なくてもいい。じっくりと待ち、考えてもらうことに意味がある。

こうした個人の時代への変化は、アーリーアダプターのアクションによってより一般化への道を歩んでいる。会社もリーダーも徐々に変化し、今後起こるべき変化を助けていくことが必要になる。この循環が加速する中で、「今、幸せですか?」と聞かれるのが当たり前の時代になっていくだろう。

文=西野雄介

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