自分のキャリアは自分で作る。個の時代に会社はどうあるべきか?

Tom Werner / Getty Images

「自分のキャリアは自分で作る」と強く思ったのは、はじめて転職をした29歳の時だった。

新卒というステータスに頼って働いてきたわけでも、それをすごく意識してきたわけでもないけれど、純粋培養の人間として大切にされているのは全ての新卒入社の仲間が感じてきたところだ。

自分のキャリアを自分で作りたくて転職をしたわけではなく、新しい挑戦をしようと思い決めたのだが、決めるときに心の中に生まれた覚悟が「自分のキャリアは自分で作る」だった。

それからというもの、キャリア構築は自分の中での大きなテーマの1つになり、常に自分を高めていかなければおいていかれるという怖さと、自分の足で歩いているという誇りが共存し前に進んできた。

今まさに、1人1人が自らの意思を持ち、自分らしく生きていく事でキャリアを作っていくことが当たり前の時代になってきた。何をやりたくて、何をやりたくないのか、何のために働くのか、強みを活かして働くとは、多様性の中で働くとは……多くの人が自らに問いかけ、人生における大きな意思決定をしているし、する人が増えてきた。転職をするのも、海外移住するのも、副業をするのも、一時休止をして自らを見つめなおすのも、そういうことである。

会社はどう変わっているのか?


そんな中で会社は、1人1人の個人に向き合い、考え方の多様性を受容し、キャリアを作るのを支援することがますます重要になっている。個人が才能を最大限発揮できるよう支援することが、会社に変革をもたらし、変化の激しい時代においてイノベーティブな組織を構築できるからである。

会社は考え方と仕組みを、リーダーは考え方とリーダーシップをこれまでとは違った視点で育んでいくことが求められている。会社命令での異動や転勤等が当たり前の時代から、個人のやりたいことと会社のミッションの重なりについての「対話」を重要視するように変化してきた。その対話を促す仕組みとして、1on1を制度として取り入れる企業も増えている。

社員のキャリアを支援するうえでのでの「会社」の役割には以下のようなものがあげられる。

1. 社内で経験機会を与えられる体制
希望に基づく異動、プロジェクト参加、シャドーイング等の疑似体験の機会の創出

2. 社内でのキャリア形成という視点だけではなく、キャリア構築を支援するという姿勢
出向、キャリアカウンセリング、転職、アルムナイ

3. タレントマネジメント
社内のどこにどんな才能が眠っているのかの可視化、社員の思いの可視化、社歴・経験・能力のデータベース化・分析・戦略的な支援

4. サクセッションプランニング
幹部層だけではなく全ての仕事において次にその仕事ができる人について、育成・採用などの観点で考えておく
次ページ > 求められるリーダーシップの変化

文=西野雄介

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事