LWホスピタリティー・アドバイザーズとJLLホテルズ・アンド・ホスピタリティー・グループのリポートによると、新型コロナのパンデミック前、マンハッタンでは利用できるホテルの客室が約10万4000室あったが、このうち約1万1100室は、閉鎖やサイズ変更、転用によって以前のような形では残らないとみられる。
一方で、開発が進められているホテルによって、新たに計約9600室が開設される見込みであるため、純減数は差し引き1500室ほどにとどまりそうだという。
ニューヨーク市議会は、休業中のホテルに対して、10月11日までに全従業員の25%以上を呼び戻し、11月1日までに再開しなければ、元従業員らに退職金を支払うことを義務づける法案を可決している。数はそれほど多くないが、ホテル側がこの規定を守れないために閉鎖される客室もあるようだ。
パンデミックによって商用旅行が激減したため、都市ホテル市場は回復が遅れている。ブルームバーグが伝えているカリブリ・ラブズと米国ホテル・ロッジング協会の調査によると、ニューヨークの宿泊業界が今年、商用旅行客から得る収入は5億3100万ドル(約590億円)にとどまる見通し。パンデミック前の2019年は40億ドル(現在のレートで約4400億円)だった。
LWホスピタリティーなどの調査によると、パンデミックが最も深刻だった時期、ニューヨークでは市内のホテル全客室の3割にあたる約4万室が閉鎖された。このうち、今年3月までに再び利用できるようになったのは約6000室だという。
対面の会議がオンライン会議に置き換わるなか、ホテル各社も事業を見直しているため、ホテル業界が今後、パンデミック前の水準に回復するかは見通せない。ウォール・ストリートジャーナルによると、パンデミックによって商用旅行は恒久的に19〜36%減る可能性があるという。