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2021.10.08

SDGs達成率18位の日本、国民の「自虐性」がブレーキに?

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世界から取り残されないために


その点、欧米諸国はうまい。筆者が感心したのは2012年の「ロンドン五輪・パラリンピック」による変化である。

この年、英国規格BS8901(持続可能なイベント運営のためのマネジメントシステム)を基に策定された国際規格「ISO20121」が発行された。社会・環境・経済の目標を同時に達成するために、イベント開催組織が行うべき要件を定めたものだ。

ロンドン大会が、この「ISO20121」に準拠した第1号の五輪となった。この経験がロンドン五輪の代表的なレガシーのひとつとなり、英国はこれをきっかけに持続可能性について評価を高めた。もちろんそのレガシーはその後の五輪にも受け継がれている。

果たして日本でも同様のことができるだろうか。先の東京五輪では、運営管理にSDGsを取り入れたことで前進したが、残念ながら、新型コロナの問題の陰に隠れたこともあり、これまでのところ世界からの評価は聞こえてこない。一方、ジェンダー・ダイバーシティや人権意識、働き方改革の面では特に、まだまだ世界の動きについていけない傾向が目立った。

SDGsでは、従来の「企業の社会的責任」に関するルール以上に、創造性の発揮とイノベーションによる課題解決力の面で企業の役割が重視されている。この中で、ユニリーバ、ネスレ、エリクソン、コカ・コーラ、グーグルといった多くの世界企業が、SDGsの活用や国連関係者との連携で先を行っている。

また、喫緊の課題である「脱炭素」などでのルールメイキングでも特に欧州が動きを加速させているので、日本企業は、ますます世界から取り残される危険性がある。

このような、世界のしたたかなルールメイキングの流れの中で、今後日本が埋没してしまう可能性がある。ルールメーカーになることは難しいかもしれないが、少なくとも世界の潮流からかけ離れてガラパゴス化することは避けてほしい。

連載:SDGsを活用した「発信型三方良し」ビジネスを探る
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文=笹谷秀光

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