成功のカギは「4時起き」より十分な睡眠

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毎朝4時に起きることは、何か大きなことを成し遂げようとしている人にとって、もはや必須の習慣になっているようである。ティム・クック、ボブ・アイガー、ミシェル・オバマといった人たちはみな、夜明け前に起きることで知られている。

けれど、4時起きが影響力のある人をつくるわけではない。それどころか、憧れの人にあやかって早起きを心がけるあまり、十分な睡眠をとれなくなってしまうと、心の健康や意思決定能力を害するおそれがあることが研究で明らかになっている。

米国人の平均睡眠時間は7時間弱と、米国睡眠医学会が推奨する時間よりも短い。仕事と家庭を両立させるには何かを犠牲にしなくてはならず、たいていの場合、それは睡眠ということになる。では、睡眠不足は人にどんな影響をもたらすのか。

ハーバード大学医学大学院とペンシルベニア大学の研究によると、1日の睡眠時間が4〜6時間の人は仕事や意思決定の能力が大幅に低くなることがわかった。

ハーバード大学医学大学院の別の研究によれば、睡眠不足は学習にも影響を与え、長期的には記憶力の低下ももたらす。「睡眠不足は気分や意欲、判断、物事の捉え方」にも影響を与えるという。同大学院のまた別の研究では、睡眠不足と不安、抑うつとの関連性も示されている。

つまり、睡眠不足が続くと、キャリアに影響が及ぶだけでなく、心の健康や幸福感も損なわれてしまうということだ。

ハーバード・ビジネス・レビュー誌はこうした研究結果を踏まえ、仕事のパフォーマンスのためにできる最も良いこととは、睡眠時間を削ってまで4時起きすることではなく、仕事より睡眠を選ぶことだと結論づけている。

コロンビア大学とユニバーシティー・カレッジ・ロンドンで教えるトマス・チャモロ=プリミュージク教授(ビジネス心理学)は、「睡眠より仕事を選んでいるときには、質よりも量を選んでいるということになる」と解説し、こう助言している。

「仕事や学校、あるいは家庭で最善の自分でありたいのであれば、良い睡眠がもたらしてくれるものを生かすのが賢明だ。良い睡眠がとれるようになれば、意識は研ぎ澄まされ、注意力は高まり、忍耐心も増し、気分や考え方は積極的になる」

編集=江戸伸禎

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