医療保険と医療サービスを提供する米カイザー・パーマネンテが実施、10月4日に医学誌ランセットで発表した大規模な調査の結果(査読済み)は、これまでの研究結果で示されていた「時間の経過と有効性の低下」の関連性を確認するものになった。
カイザー・パーマネンテが調査対象としたのは、2回の接種を受けた340万人以上。同社が公表した結果によれば、接種完了後にいわゆる「ブレイクスルー感染」をした人は、そのうち5.4% (18万4041人)だった。
また、ブレイクスルー感染した人のうち、入院が必要になったのは6.6%(1万2130人)だったという。入院した時期は、2回目の接種から平均3~4カ月後だった。
論文の著者らはファイザー製ワクチンについて、「調査対象期間において、年齢層にかかわらず、感染力が非常に強いデルタ株を含む“すべての変異株”に対し、入院を防ぐことに対する90%以上の有効性を示していた」と説明している。
一方、感染を予防する効果については、数カ月で大幅に低下するとの結果が示されている。2回目の接種から1カ月後までは88%であることが確認されたものの、6カ月後には47%に低下していた。
感染者およそ9000人分のサンプルを用いて調べたところ、感染を防ぐことに対する有効性は、接種後から4カ月後までの間に、デルタ株以外の変異株は97%から67%に、デルタ株の場合は93%から53%に低下していたという。
ブレイクスルー感染と「変異」の関連性
ファイザーのワクチン開発部門のシニアバイスプレジデント兼最高医療責任者のルイス・ジョダー博士は、「ブレイクスルー感染」が起きる理由について、最も可能性が高いと考えられる理由はワクチンの有効性の低下であり、「デルタまたはその他の変異株が免疫逃避の性質を持つためではない」と強調している。