ビジネス

2021.10.08

食料の未来を見据えるベンチャーキャピタル「VERSO Capital」

Getty Images

VERSO Capitalのマネージングパートナー、ジュリアン・マショ(Julien Machot)は、食肉消費量が世界的に減少する傾向を指摘しつつ、代替タンパク質へと進出する食品・飲料分野の起業家はコロナ禍の終息後もますます増えるだろうと予測している。

そうした流れは、新たな植物由来食品や細胞培養技術によってさらに加速し、カテゴリー全体の売上は2027年までに48億ドルに達すると見られる。そのうちの40.5%は米国市場が占める。

「人間の胃袋を満たすために動物を取引する時代は、もう終わりにしなくてはならない。持続はもはや不可能だ」とマショは語る。マショは、2017年にルクセンブルクを拠点にした超富裕層(UHNW)向けのマーチャント・バンキング兼顧問会社を創業して以来、投資にあたって「地球の健全性」を常に中心に置いてきた。

ポートフォリオの合計成長率は300%


VERSO Capitalのベンチャー部門はこれまで、フードテックと代替タンパク質分野の先頭に立つ各社への投資を主導してきた。例を挙げると、代替肉のインポッシブル・フーズやディス(This)、代替卵のイート・ジャスト、オーガニックコーヒーを製造するナイトロ・ビバレッジ(Nitro Beverage)、サステナブルな乳製品を掲げるタートルツリー(TurtleTree)などで、これまでの調達総額は3億7500万ドルに上る。

マショによれば、それらの企業の過去36カ月における合計売上高の成長率は300%だ。これによりVERSOは、気候変動との闘いを後押しする新しいフードテックをさらに追求できるようになる。

「2017年、VERSOは気候関連技術に関心を寄せていたが、工学や技術に関する知識がなかったため、もっと分かりやすくアプローチも容易なエントリーポイントを探さざるを得なかった。フードテックは明白なターゲットとなった。世界全体で排出されるメタンガスの40%を乳牛が占めているのだから」

従来型酪農による環境への懸念も、代替タンパク質に特化したベンチャーファンドが増加する理由となっている。たとえば、米ベンチャーキャピタルのLever VCとPowerPlant Venturesは、先ごろ組成した1号ファンドと2号ファンドで、それぞれ8000万ドルと1億6500万ドルを調達した。Lever VCは、細胞培養で乳製品を製造するタートルツリーの投資家でもある。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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