イシダは非上場企業だ。それについて石田は「株主優先の経営ではなく、顧客や地域社会などすべてのステークホルダーが“良く”なるようにバランスを見て経営しているから」と説明する。
その姿勢をよく表しているのが、「機械にとって一番大切なのは“長寿命”」という考えだ。
「例えば“秤”は20〜30年持つ商品で、頻繁に買い替えるものではありません。だからといってわざと壊れるように設計するのはおかしい。新しい製品を購入していただくとしても、ハードごと買うのではなく、ソフトウェアのアップデートなどで対応できたほうが環境にも優しいですよね」
飲食関係の商材を多く扱う同社は、巣ごもり需要の恩恵を受けて2020年の売上が前年比104%増と、右肩上がりの成長を続けている。「さらに会社を成長させて自治体に多額の税金を納めることで、地域社会に貢献していきたい」と話す石田は、「三方良し」の一番の体現者なのかもしれない。