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2021.10.09 17:00

高給、出世、競争と訣別すべきは45歳? 後半戦は「実質定年」で

Photo by Kevin Ku on Unsplash

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「70歳までの就業機会確保」に関する改正高齢者雇用安定法が、4月に施行された。これまでは65歳までの雇用義務だったが、4月1日以降、70歳までの就業機会の確保が「努力義務」になった。これにより定年が延び、いよいよ「生涯現役=定年消滅」時代が幕を開けるか、とも思われる。
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だが近年では「現実問題として、終身雇用はもはや維持できないのでは?」という声も聞かれる。たとえば、サントリー新浪社長が提言して物議をも醸したのが「45歳定年制」。「会社に頼らない姿勢が必要だ」という考え方だ。

2021年9月に発売された、『定年格差 70歳でも自分を活かせる人は何をやっているか』(郡山史郎著、青春出版社刊)は、発売後たちまち重版と好調の話題の新書だ。著者の郡山氏は、ソニー取締役、常務取締役、ソニーPCL社長、同社会長、そしてソニー顧問を歴任。会社員でありながら経営のトップまで上り詰めた後も現在86歳にして現役ビジネスマンであり、生涯現役を体現している人物でもある。

同氏によると、定年には「形式定年」と「自然定年」があるという。前者は、国が定めて企業が従う一般的な定年退職制度(現状70歳)、後者は、動物である私たち人間が否応なしにも受け入れるしかない、生物学上の定年(45歳前後)である。加えて、重要な「第3の定年」があるというが──。
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「定年消滅時代」を楽しく豊かに生きるヒントを探るべく、以下、著書『定年格差』から抜粋してお届けする。

関連記事はこちら>>経験を活かせるのも45歳まで。「70歳定年法」は天下の愚策か?


(以下『定年格差 70歳でも自分を活かせる人は何をやっているか』から抜粋転載)

前半・後半戦で戦い方を変える


会社や国に自分のキャリアプランを任せてしまうのは、やめにしよう。

彼らは労働者1人ひとりのことまでを真剣に考えてはいない。それは致し方ないことだ。全体最適を考えるのが国の基本で、売り上げ・利益を上げ続けるのが企業の正しい姿勢だ。

しかしあなたの人生には、国や企業とは別の時間が流れている。
 
65歳だろうが、70歳だろうが、あるいは別の形で会社から追い出されたところで、人生100年時代の今は、それから数十年もの間、生活していかなければならない。

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Getty Images

私自身は90歳まで現役で働くと決めている。90年を半分にするとちょうど45年ずつになる。サッカーでいう前半戦と後半戦のようなものだ。

サッカーと違うのは、前半と後半で戦い方を変えざるを得なくなることだ。

前半戦は、同年代のライバルや同業の企業と重なり合って競う競争社会で切磋琢磨してきた。それなりの成果を上げて、役職も上げて、給料とプライドを高めてきた。国や勤め先が求めるキャリアパスに従っていて問題なかった。

しかし、「自然定年」を迎えると、同じ戦い方ができなくなる。

体力、知力が衰えて、これまでと同じモチベーションで高給や出世や成長を求めて働くのは分が悪くなる。どう考えても、自分より下の世代のほうが優れているし、彼らのほうが勝ち目があるからだ。
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