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最近の天然ガスの価格高騰で、欧州は大きな打撃を受けている。これがきっかけとなり、対立する国からのエネルギー輸入に依存することのリスクが改めてクローズアップされている。

場合によっては、欧州各国の政府が自国のエネルギー政策を見直し、欧州域内での天然ガス採掘を容認する動きに出る可能性もある。

ご存知の読者も多いだろうが、米国の天然ガスのスポット価格は、最近は5ドル前後と、6カ月前の約2倍のレベルで推移している。確かにかなり値上がりしてはいるが、欧州での価格は、何と15ドルだ。しかも一部のアナリストは、年末までにさらに価格が上がると予測している。

これから冬が到来し、ドイツ、フランス、英国、アイルランド、北欧諸国などの欧州北部の国々の家庭で暖房が必要な時期になれば、ガス価格の高騰は重い負担となってのしかかるだろう。

ロシアに批判の矛先を向ける欧州諸国


だが、価格の高騰は問題の一端にすぎない。もう一つの問題は、ロシアが、天然ガスを含む欧州の主要なエネルギー供給源になっていることだ。最近になってロシア政府は、天然ガス供給における自らの優位性を経済戦争の武器として用いていると非難されている。これは簡単に言えば、ロシアはエネルギー価格を高値に誘導し、それによって、すでにきしみが目立つ欧州圏の結束を弱めて欧州連合(EU)にダメージを与えているという主張だ。

こうした非難をロシア自身は否定しているものの、この問題は、エネルギー供給を打ち切るというロシア政府からの脅しに対して、欧州が非常に脆弱な状態にあることを浮き彫りにするものだ。

これは、はるか以前から欧州各国の政府が認識していた(あるいは知るべきだった)問題だった。

また、この問題の解決策も、以前から存在していた。しかもそれは、かなり単純なものだ。EUと英国が、エネルギー企業に対し、域内での水圧破砕法を用いた天然ガス採掘の許可を与えるだけで、この問題は解消する。確かに、炭素を含むエネルギー源の採掘には、環境への影響がついて回る。だがそれは、産地が英国のダービーシャー州、スコットランドの北海、あるいははるか遠くのロシアであろうと関係なく、すべての天然ガスに当てはまる話だ。

寒波の到来で、欧州各国が域内のガス採掘を容認する可能性も


こうした見方は、欧州の首脳の多くには受け入れがたいものだろうが、この秋から冬にかけて、気温が冷え込むなかではより魅力的な選択肢になっていく可能性が高い。冬になれば、暖房費の高騰や、自宅で凍死寸前の状況に置かれる年金生活者の苦難を、メディアは盛んに書き立てるはずだ。

こうした事態が起きた場合、欧州の一部の国は、国内でのガス採掘を希望するエネルギー企業に対する態度を軟化させるだろう。そうなれば、BPやロイヤル・ダッチ・シェル、フランスのトタル、イタリアのエニをはじめとする欧州の大手エネルギー企業に投資する投資家が利益を得られる可能性が高まる。

エネルギー危機の成り行きや各国政府の対応については、慎重に注視する価値がある。ガス採掘に対する規制の緩和が始まれば、それが、エネルギー分野に投資するべきタイミングとなるかもしれない。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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