ただし、現段階でハムスターの勝利を宣言するのは微妙だ。期間はわずか数カ月だったし、暗号資産のボラティリティゆえに、こうした単純な「ピュアプレー」型ポートフォリオが大きな勝ちを収め、競争相手の上を行く可能性が高い状態だった。
そうは言っても、サルの投げるダーツにしろ、乱数発生器が選んだ取引にしろ、ハムスターによる暗号通貨の選択にしろ、ランダムな行動がプロの銘柄選択者と同じくらいの好成績を出し、それどころかしばしば上回るかのようなパターンは、継続的に見られている。
長期的に見て、良い結果を高い一貫性をもって出せる投資家は存在する。だが、1年間は比較的うまくやり、年間統計では市場パフォーマンスを打ち負かすものの、次の年には金融の断崖を滑り落ちるプロのファンドマネージャーも大勢いる。
そうしたことを踏まえると、こんな教訓が得られそうだ。
1. 自身の投資ポートフォリオを設計する場合、けっして自分の才能に酔ってはいけない。もっと言えば、その点では、他の誰の才能だろうが酔ってはいけない。誰にしろ、本当に未来を予測できるのなら、その人はいつもそうしているはずだ。ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーのように、かなりの確率でそれができる人はいるものの、年がら年じゅう成功している人はいまだかつて誰もいない。
2. いつも上げ潮ではないことを忘れずに。引き潮になる時もある。投資家やプロは、キャリアのなかで初めてそれを学ぶこともある(筆者が2020年はじめに本誌に書いた記事をチェックしてみるといいかもしれない。下げ相場から得た教訓を、複数の人たちが振り返っている)。
3. すべての卵をひとつの籠に入れておいてはいけない。暗号通貨はボラティリティが高い。暗号通貨こそ未来だと多くの人が考えていることは承知しているが、覚えておいてほしいのは、最終的に大負けをする人の多くは、かつては前途有望な勝者と見なされていたという事実だ。すべてをひとつのセクターに突っ込むのは、そこで悪いことが一切起きない場合でもない限り、すばらしいことではない。
ハムスターを甘く見てはいけないのだ。