ビジネス

2021.10.05

細かなマネジメントを必要としない、自律した組織の作り方|ココナラ 南章行 #4

ココナラ代表取締役会長 南章行


「得意」を活かす組織風土


──組織づくりについてもお聞かせください。どのようなポイントを意識されているのでしょうか?

ココナラの事業・ミッションがあるからこそ、「自分のストーリー」を生きることを大切にする組織設計をしています。

まだまだ発展途上ではありますが、欠点があっても「スタンス」さえ良ければ誰かが助けてくれる、苦手なことが少々あっても得意なことを「素敵だね」と互いに言い合える。そんな組織文化を作ることを目指しています。

例えば人材配置を考えるときも、それぞれの「得意を生かす」フォーメーションや組み合わせをディスカッションしています。地道ですが、そうやって自然と人の良いところを見る文化を育てていきたいと思っています。

事業内容・ミッションと組織は表裏一体です。なので我々のやり方があらゆる組織にとって理想なわけではありません。

起業家の素養としてお話しした「自分への深い理解」が組織づくりにおいてもすべての起点になります。そこから会社のミッションが決まり、組織の統治方法が決まり、採用のあり方や組織設計が決まる。

この一貫性を保つことこそが経営の真髄なのだと思います。



目指すは「サービス版Amazon」


──ココナラの今後のチャレンジについてお聞かせください。

個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する。

ココナラはミッションドリブンの会社なので、このミッションの実現に向かってシンプルに事業領域を広げていくことが今後の展望です。

その一例として直近の話をすると、「ココナラブログ」というサービスを今年からリリースしました。「ココナラ」が1対1の関係性においてスキルをカスタマイズして提供するプラットフォームだったのに対して、「ココナラブログ」はコンテンツを不特定多数の人に対して販売するプラットフォームです。

我々のチャレンジはあらゆる人が自分の強みや経験、価値に気づき、それを活かして活躍できるようにしていくことです。いろんな形でその手段を用意し、愚直に改善を繰り返していくことが今後の展望ですね。

──事業から組織にいたるまで、すべてミッションドリブンを貫かれていますね。

それが無くなったら、ココナラではなくなる。そう言い切れるほど、すべてのサービスやアクションの根底にはミッションがあります。

一方で、ビジネス視点での事業戦略は、当然ながら別で持っています。それが「サービス版Amazon」を目指すということ。

総合型スキルマーケットは未だ世界のどこにもありません。その第一号になることがビジネス視点での大きな戦略です。

──なぜ「総合型スキルマーケット」はこれまで生まれてこなかったのでしょうか?

サービスをオンラインで売り買いしようとしても変数が多すぎてマッチングしない、というのが一番の理由です。もちろん多くのスタートアップが世界中でチャレンジしていますが、未だにブレイクスルーに至っていません。
我々はマッチングを成立させるために、オンラインに限定することで時間と場所の概念を捨て、創業当初は価格の概念まで捨て、変数をシンプルに絞り切ることでサービスを拡張してきました。そうやって十分にスケールさせた上で価格、そして場所の概念も徐々に解放し始めています。

創業当初から「サービス版Amazon」という広大な青写真は描いていましたし、戦略通りにステップを積み重ねてきました。

「困ったことがあればココナラに行けば必ず解決する」というような安心感を買う側の人にも与えられるよう、着実に戦略を実行しています。
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文=吉田俊也 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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