マグナ社が9月27日に発表した米国の広告業界の動向予測「U.S. ADVERTISING FORECAST」によると、2021年の米国のメディアオーナーの広告収入は、前年比23%増の2780億ドル(約30兆円)に達する見通しという。メディアへの投資を行う調査企業のマグナグローバルは、6月時点でこの金額を2590億ドルと予測していた。
一方、グループエムは6月に開示したレポートで、2021年の世界の広告支出(米国の政治広告を除く)が前年比19%増になると予測しており、昨年12月の予測の12%増から引き上げた。世界のマーケティング担当者は、2026年には1兆ドルの広告費を投じる見通しで、2020年の6410億ドル、2016年の5220億ドルから大きく増加するとされている。
グループエムによると、上位25社のメディア企業が広告収入全体に占める割合は、2016年には42%だったが、2020年には67%に増加していた。
ただし、グループエムは「ネガティブなトレンドが成長を妨げる可能性もある」と指摘した。「現在進行中の半導体不足は、幅広い業界にネガティブな影響を与えているが、一般的には一時的なものと考えられている。しかし、根本的な問題が続くようであれば、このリスクはより深刻なものになり得る」と同社は述べている。
年初来の6ヶ月間の広告支出は、前年同期との比較で32%の急増となっている。特に、自動車や金融、レストラン業界などの支出は、パンデミックの影響で停滞していた消費を呼び起こすため、上半期に50%以上の増加を記録した。
マグナ社のマーケットインテリジェンス担当のVincent Letangは、9月27日のPRWeekに次のように述べている。「リバウンドは、人々の予想よりもはるかに強かった。感染者数は増加しているが、ワクチンを接種した人もしていない人も、コロナ前のライフスタイルを取り戻しつつある。直近の感染者数の急増は、今のところ、景気回復を狂わせるような脅威にはなっていない」
マグナ社によると、2021年上半期の米国の伝統的メディア(長編ビデオ、出版、屋外)の広告収入が11%増だったのに対し、デジタルフォーマット(検索、ソーシャルメディア、短編ビデオ、デジタルオーディオ)の広告収入は同時期に49%増加した。
ローカルテレビや全米テレビを含む「長編ビデオ(Long-form video)」は、2021年に11.4%、2022年に9.2%の増加が見込まれている。出版セグメントは、通常であれば新聞や雑誌向けの支出が減り、通常は2桁の減少となるが、2021年には0.1%、2022年には0.3%の増加が見込まれている。検索は、今年は36%、来年は16%の増加と予測されている。
「自治体や企業は、ワクチン接種の奨励や義務化を継続するだろう」とマグナ社は述べている。さらに、「最終的に新型コロナウイルス関連の制限が完全に無くなった場合、経済成長と消費は堅調に推移する」と述べている。