アークの日次取引報告書によると、同社のファンドは先週、テスラ株をさらに38万1000株(約2億9700万ドル相当)売却し、9月の売却額の総額が約6億570万ドルに達した。
同社が9月中に最も売却した銘柄はテスラだったが、シンガポールのインターネット企業Seaや、スイスの製薬会社ノバルティス、工業用オートメーション企業テラダインの株式の売却額も、合計で5億8300万ドルに達していた。
アークは、これらの銘柄の代わりに、ここ2週間、今年上場したばかりであまり好調ではない新規銘柄を買っていた。その中でも、暗号通貨取引所コインベースに1億4300万ドル(約159億円)を投資したが、コインベースの株価は、暗号通貨市場の低迷の中で4月の上場から34%も下落している。
ウッドは先月、暗号通貨に批判的な投資家たちに反撃し、ビットコインが単なる価値の貯蔵庫や「デジタル・ゴールド」をはるかに超えるものだと述べ、今後5年間でビットコインの価格が現在の4万ドル強から50万ドル以上に急騰すると予測していた。
アークはまた、昨年パンデミックの懸念が高まった際に上昇したものの、その後は最大50%も下落した一連のハイテク銘柄にも投資している。同社は、ニューヨークに本拠を置くルーマニア発のオートメーション企業UiPathに約3億2000万ドルを投資した。
また、ストリーミング企業のRokuやビデオ会議のZoom、遺伝子検査企業のInvitaeにそれぞれ約1億6000万ドルを投資した。
アークは特定の取引についてのコメントを控えているが、報告書によると同社の先月の上位購入銘柄には、家庭用ヘルスケア企業のSignify Health、オンライン証券会社のロビンフッド(こちらも暗号通貨関連)、スポーツ賭博企業のDraftKingsなどが含まれていた。
アークのETFは苦戦中
しかし、「破壊的イノベーション」にフォーカスするウッドの投資戦略に、ウォール街は懐疑的な見方を強めている。ブルームバーグの分析によると、運用総額が250億ドル規模の同社の旗艦ETF「アーク・イノベーションETF」から過去3ヶ月間で流出した資金は、10月1日時点で約20億ドルに達し、四半期ベースで過去最悪の資金流出となった模様だ。
アーク・イノベーションETFは、2020年にプラス150%近い実績をあげたが、今年のパフォーマンスはマイナス約11%となっている。
一方で、2007年の住宅市場の暴落を予言し、マイケル・ルイスのベストセラー「世紀の空売り」に取り上げられた有名投資家のマイケル・バリーが率いるヘッジファンド「サイオン・アセット・マネジメント」は先月、3000万ドル相当のアーク株のプットオプション(株価が下落した際に利益が出るオプション)を保有していることを開示していた。