とはいえ、スタート地点が低くても、イタリアリーグのチームの価値を引き上げるのは簡単ではなさそうだ。
セリエAでは、成功しているチームですら、世界的な大手ブランドのスポンサーを獲得するのに苦慮しているのが実情だ。また、ほとんどのチームは、米国の基準からすれば老朽化したスタジアムで試合を行っている。そのため、チーム側は場内販売や特別観覧室などから収益をあげる機会が妨げられているほか、チケット価格を欧州で一般的な水準に引き上げることも難しくなっている。
ケーブルテレビ運営の米メディアコムの創業者で、2019年にセリエAのACFフィオレンティーナを買収した富豪のロッコ・コミッソは、「イタリア側がセリエAをイングランドやスペイン、ドイツのサッカーとわたりあえるものにしたいのであれば、今こそ変革が必要だ」と述べている。
セリエAの名門インテル・ミラノのオーナーで、財務が悪化している中国の蘇寧グループは今年5月、チームが3億3600万ドル(約370億円)の融資を受けることに同意した。貸し手はやはり米国の資産運用会社オークツリー・キャピタルで、蘇寧が債務不履行(デフォルト)を起こせばインテル・ミラノを買収する方向となっている。