「フィデリティから資金調達12億円」の舞台裏
──先ほど少しお話があった資金調達についてもお聞かせください。2019年に世界的資産運用会社であるフィデリティ・インターナショナル社から12億円の資金調達をされていますね。
上場などのイグジットを目指すスタートアップにとって、持分比率というのは非常に大きな論点です。特にVC比率が高いと、上場時にはネガティブ要素として判断されます。また、上場後に海外投資家を誘引するためには、海外投資家に対する信頼感も不可欠です。
弊社にとってもその課題を打破したいという考えがあり、その打ち手として最適だったのが「上場後も株式を持ち続けてくれる、世界的な投資会社」に株主として参画してもらうことでした。
日本の未上場ベンチャー企業にこのような上場企業向け投資会社から出資を募る文化はほとんどありませんが、海外の非上場ベンチャーでは近年よく見られる資金調達形態です。
弊社に株主として参画いただいたフィデリティ社も主に上場企業に投資する世界トップクラスの資産運用会社ですが、海外の未上場ベンチャーに対する出資も積極的に実施しています。
そこで「日本の未上場ベンチャーに興味はないか?」と打診し、結果的に出資いただけることとなりました。あのフィデリティが出資したとなれば世界中の投資家が、弊社に興味を持ってくれます。
互いにWin-Winのディールだったのです。
フィデリティ社が単独ラウンドで日本の未上場ベンチャーに出資したのは我々が初めてでしたので、界隈では衝撃的なニュースとして反響をいただきました。
──TVCM、ファイナンス共に、たとえ前例が無くても道を切り拓く姿勢が非常に印象的です。
何事も「初もの」はハードルが高い。
これはテレビCMやファイナンスに限らず、ほかの事柄でも起こりうることだと思います。
でもその道を切り拓くからこそ後進が後に続くことができるわけなので、これからもココナラが新しい道をどんどんと切り拓いていきたいですね。
南章行(みなみあきゆき)◎1975年生まれ。ココナラ 代表取締役会長。慶応義塾大学卒、英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。住友銀行(現三井住友銀行)でアナリスト業務を経験した後、アドバンテッジパートナーズにて約7年で5件の企業買収を担当。その傍ら、NPO法人ブラストビート、NPO法人二枚目の名刺の立ち上げに参画。2012年1月に自ら代表としてウェルセルフ(現ココナラ)を設立。一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事。
連載:起業家たちの「頭の中」
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