一方で買い手は広告を投下してユーザーを獲得しています。「得意を売りたい」人はたくさんいるけれど、「得意を買いたい」という人はいないからです。「得意を買える」ではなく、お金を払ってでも解決したいニーズを抱えた人にアプローチしなくてはいけません。
ココナラで売られているサービスは約40万件種類あり、200ものカテゴリーに分かれてまが、一度サービスを買っていただいた後の利用継続率は非常に高い。
この継続率が非常に高いことがポイントです。買い手に一度使ってさえもらえれば、「困っていることがあればココナラに戻って来ればいい」と気づいてもらえるエコシステムが出来ているのです。
そのエコシステムがあるからこそ、積極的にテレビCMも投下しています。
「得意を売り買いココナラ」が生まれるまで
──御社はテレビCMを積極的に活用されていますが、スタートアップがテレビCMを活用する上で気をつけるポイントなどがあれば教えてください。
世の中では面白いCM、オシャレなCM、あるいは話題になるCMをよく目にすると思います。しかしそれをスタートアップが安易に真似てはいけません。
もちろんブランディング目的のCMのやり方もありますが、それは認知率が戦略上すごく鍵になるとわかっている場合に限ります。多くのスタートアップの場合はかっこよさよりも、きちんと伝えたいメッセージに主眼をおき、ユーザーを獲得できるCMにするべきです。
加えて、CMとなった瞬間にどんぶり勘定で予算を投下するのもよくありません。
──近年ではテレビCMを活用するITスタートアップも増えましたが、御社が初めてテレビCMを企画した当初は苦労されたとお伺いしました。
新規性の高いビジネスのテレビCMを流す審査(考査)ハードルが高いのは事実です。得体の知れないサービスのCMを流すことで視聴者にどんな不利益を与えるかわからないからです。
特に我々の場合はITスタートアップがテレビCMを実施した実績がほとんど無い頃に企画をしたので、最初は日本中の全テレビ局にCM放映を断られてしまいました。お金さえ出せばテレビCMをやれる、と思って資金調達までしたのにまさかの展開でかなり衝撃をうけたのを覚えています。
特に我々のようなCtoCビジネスは当時少なく、一見するとかなりリスクがあるサービスのように見えたのでしょう。
──そのような状況をどのようにして乗り越えられたのでしょうか?
要は知らない会社がやっている見慣れないサービスを見て「怪しい」と思われていたわけなので、その不安を解消するしかありません。
我々の場合の解決方法は、100局以上のテレビ局の担当者をお呼びして説明会を複数回実施し、私が直接事業のプレゼンテーションをしました。さらには東名阪のキー局に関しては3日間ですべて周り、全局の担当者様と直接面談させていただきました。
元金融マンの私が正装をして実際に出て来るだけでも信憑性がわきますし、さらには数値や仕組みを見せながら、いかにビジネスとして起きうるリスクをシステムで防止しているか、理路整然と説明すれば納得もしていただけます。
あらゆるツテを頼ってテレビ局内で応援してくれる人たちを増やすことによって、最終的には全局でテレビCMの放映許諾をいただきました。CMを開始した以降もトラブルは皆無だったため、その後はスムーズに実施できるようになりました。