ビジネス

2021.10.03

合理的に見える事業はNG 仮説通りに行くビジネスプランの鉄則|ココナラ 南章行 #2

ココナラ代表取締役会長 南章行


──わずか1週間で大枠のコンセプトと仮説検証をされたのですね。次にどのような検証をされたのでしょうか?

次はオンラインだけでスキルを売り買いすることが本当に成立しうるのかテストしました。

具体的には無料の掲示板借りて、知り合いで何かしらのスキルを持ってそうな人たちをかき集め、「××ができます。相談にのります」と書いてもらったものをリスト化し、そのURLを別の人に送って「この中で相談したいものある?」と聞いて回りました。

そして相談したいものがあった場合、実際に掲示板の中でスキルを持った人と相談したい人同士でやりとりしてもらい、その行為に対してお金を払いたいと思うかどうか検証しました。これが2〜3週目にやったことです。

ある程度の検証が完了したタイミングで、次に「相談の価値とは何か」、つまりユーザーに提供したい価値が何なのかを定義しようと考えました。

就活が終わったばかりの学生や結婚したばかりの女性、子供を産んだばかりのお母さんなど、明らかに何かに悩んでいそうな人たちを集め、「何に困ったか?」「どうやって解決したか?」「誰に相談したか?」「どのように相談したか?」というのをヒアリングしていきました。

その結果、「相談の価値」とは、ソリューションを得ることだけではなく、相手が自分のために時間をとってくれたというエモーショナルな部分がセットになって初めて価値になるものであるとわかりました。

ではその「相談の価値」をオンライン上で表現するにはどうすればいいか、何が本当に売り手と買い手にとってのバリューがあることなのかをひたすら検討していきました。

このとき、同時並行で「自分たちにできるのか?」というケイパビリティの部分も検証しています。具体的には、将来起こりうる課題をリストアップし、それに対して答えを持っていそうな人にひたすら話を聞きに行きました。

例えばクレーム対応するためのカスタマーサポートの人数が何人程度必要か見積もるために、クレームが多そうなITサービスを運営している会社のカスタマーサポート責任者に話を聞きに行くなど、相当数の課題をリストアップし、毎日2件以上は業界の第一人者たる人たちに話を聞きに回っていましたね。

このようにプロダクトの価値、および自分たちのケイパビリティを徹底的に検証したのが4から5週目のことです。


南章行(みなみあきゆき)◎1975年生まれ。ココナラ 代表取締役会長。慶応義塾大学卒、英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。住友銀行(現三井住友銀行)でアナリスト業務を経験した後、アドバンテッジパートナーズにて約7年で5件の企業買収を担当。その傍ら、NPO法人ブラストビート、NPO法人二枚目の名刺の立ち上げに参画。2012年1月に自ら代表としてウェルセルフ(現ココナラ)を設立。一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事。

連載:起業家たちの「頭の中」
過去記事はこちら>>

文=吉田俊也 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事