同サービスを牽引するココナラ 代表取締役会長 南章行(みなみあきゆき)氏に起業家としての素養、事業立ち上げなどについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの吉田俊也が聞いた。(全4話中2話)
第1話:なぜ、起業家には「自分への深い理解」が必要か
極限状態で見出した「自分の強み」
──先ほどお話された起業家にとって重要な素養をどのようにして南さんは身につけられたのでしょうか。
1つめの「自分への深い理解」、これは前職のアドバンテッジパートナーズに転職した最初の数年が大きな転機となりました。
何があったかというと、周りのメンバーが優秀すぎて、自分の無能さを突きつけられたのです。入社から1年で「このままだとクビ」と宣告されるほど、絶対的劣位な状況に追い込まれました。
そんな極限状況の中で何としても価値を出そうと考えたときに、「自分の中の相対的優位な部分」をなんとしても見つけ、レバレッジするしかないと考えました。
──どのような部分が自分の強みだと考えられたのでしょうか?
それまでは知識やスキルといった「ハードスキル」がビジネス上の能力だと考えていました。例えばファイナンス知識や資料作成スキルといったものです。しかしそういった部分では、何一つ勝てるものが無かった。
そこで着目したのが人間性といった「ソフトスキル」の部分。実は人よりも懐に飛び込んで交渉できる、みんなを巻き込んで勉強会などをやりながら知識を増やすことができる、といったものです。
いち個人のハードスキルでは勝てなくても、ソフトスキルを使って良いチームを作ることができれば活躍できるかもしれない。
そうやって自分の性格やスタイルを深く意識し、自分なりの成長方法、勝ち筋が見えてきたのがその前職時の経験でした。その経験はいまの経営スタイル、そして人生設計にもいかされています。
「強み」の反対は「消耗」
──極限の状態に追い込まれてはじめて、本当の自分の強みと向き合うことができたわけですね。
日本の教育や人材育成って「弱みを潰す」ことばかりに目が奪われがちですよね。苦手なことを克服したら、その先に幸せが待っているというようなことを刷り込まれている。ゆえに自分の強みをわかっている人が意外と少ないんです。
ではいざ強みが何かと考えたときに、ありがちな方法として「強みの反対が弱み」という考え方がありますが、私はそういう捉え方をしません。私は「強みの反対は消耗」であると考えているんです。