ビジネス

2021.10.02 12:30

なぜ、起業家には「自分への深い理解」が必要か|ココナラ 南章行 #1


自分の価値とは


──南さんは「自分のモチベーション源」をどのように理解されていますか?

私の場合、自分のモチベーション源を「社会実現欲求」と「自己実現欲求」に分けて考えています。

私の「社会実現欲求」に関しては、まさにココナラがビジョンとして掲げている「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」ということを純粋に信じています。そのビジョンに対して貢献できていること自体が理屈なく楽しいのです。

私は最初のキャリアとして「企業再生」を選んだのですが、それも「多くの人がリストラされずに、自分らしく生きていけるサポートがしたい」という思いが根本にありました。その後NPOを2つ立ち上げましたが、いずれも「みんなが自分らしく生きる」ためのNPOでした。

当時は単に面白いから、やりたいから、という理由で選んでいた活動でしたが、振り返ってみると共通する「社会実現欲求」が自分にあることに気づいたのです。

私の「自己実現欲求」に関しては、「自分がいる社会 ー いない社会 = 自分の価値」という価値観から思考をスタートしています。私がいなかったとしても代わりに誰かが起こす変化は自分の価値じゃない。逆に私がいたからこそ起きた変化は自分の価値である、という考えているのです。

例えば、自分ならではのやり方で立ち上げたココナラの事業によって、100万人以上のユーザーの生き方が変わっていくのは私の価値だと捉えていますし、一方で目の前の一人に自分がアドバイスをすることによってその人の生活が少し変わることも、私が生み出した価値だと捉えています。

──「自己への深い理解」がベースになって、2つ目の素養である「人を惹きつける魅力」にも繋がってくるのですね。

自分の魅力を自分では言いづらいですが、私の「自分への深い理解」がベースになって生まれたミッションに共感して、ココナラに人が集まってくれているという事実はあると思います。

私の場合は、「自己実現欲求」と「社会実現欲求」がかなりリンクした状態でココナラという事業をやっています。ミッションを心から信じている私だからこそやれている事業であると思っていますし、だからこそこれだけ多くの仲間と一緒に事業を成長させることができているのかなと考えています。


南章行(みなみあきゆき)◎1975年生まれ。ココナラ 代表取締役会長。慶応義塾大学卒、英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。住友銀行(現三井住友銀行)でアナリスト業務を経験した後、アドバンテッジパートナーズにて約7年で5件の企業買収を担当。その傍ら、NPO法人ブラストビート、NPO法人二枚目の名刺の立ち上げに参画。2012年1月に自ら代表としてウェルセルフ(現ココナラ)を設立。一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事。

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=吉田俊也 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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