同サービスを牽引するココナラ 代表取締役会長 南章行(みなみあきゆき)氏に起業家としての素養、事業立ち上げなどについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの吉田俊也が聞いた。(全4話中1話)
起業家は「自分が出来ること」しかできない
──南さんが考える、起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?
すべての起点となるのは「自分への深い理解」です。自分のモチベーションの源泉、あるいは自分の人を動かすスタイルといったものを深く理解していることが、成功する上では絶対必要です。
2つめは「人を惹きつける魅力」。どんな魅力かは人それぞれで異なるものですが、人を惹きつけ、仲間を集められない限り起業は不可能です。
最後の3つ目が「ポジティブマインド」。苦しい時期があっても、その中から良い部分を捉えて前向きになる力のことです。起業すると苦しい時期というのは常に存在し続けます。その一つ一つに悩んでいても体が持たないですし、厳しい局面で不安そうにしているリーダーに人はついていきたいと思いません。
まとめると「自分への深い理解」をベースに「人を惹きつける魅力」を持っていて、どんな苦境でも「ポジティブマインド」を持ち続けられることが、起業家として重要な素養だと思います。
──「自分への深い理解」がなぜ必要なのか、詳しくお聞かせください。
良い会社、良い経営スタイルというのは一様ではなく、経営者や事業タイプによっても異なります。ここで「自分への深い理解」がないと、自分の経営ではなくて「他人の経営の真似」になってしまうのです。他の経営者の真似をしていても絶対に良い会社・事業は作れません。
例えば会社のまとめ方として、「ミッション」で引っ張るタイプもあれば、「バリュー」で引っ張るタイプの経営者もいます。良い事業を作りたいのか、それとも良い会社を作りたいのか、とも言い換えられるでしょう。
このときに、起業家が誰かの真似をして単に理想を追いかけているだけでは、誰が見てもすぐに見抜かれます。本心から達成したいと信じているミッションやバリューを目指すこと。つまり、起業家は「自分が出来ること」しかできないのです。
ゆえに起業家は「自分のモチベーション源への深い理解」を持ち、それに沿って経営スタイルや事業ドメインを設計していくべきです。「自分への深い理解」がある人しか、本当の意味で自分に合った経営スタイルを見つけることはできないのかなと思います。