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シネマ未来鏡


監督は、アメリカ人として初めてこのシリーズのメガホンをとったキャリー・ジョージ・フクナガ。日系3世の父親を持つ44歳だが、不法移民問題に題材を得た長編デビュー作品「闇の列車、光の旅」(2009年)で高い評価を得て、テレビドラマシリーズ「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」のシーズン1(2014年)でも監督を務め、エミー賞の最優秀監督賞を受賞している。

「ノー・タイム・トゥ・ダイ」では、途中降板したダニー・ボイルの後任として監督に起用されたが、アクション作品を中心としていない彼に白羽の矢が立ったのは、やはりフクナガが人間に対する深い洞察力を秘めた才能の持ち主だったからに他ならない。その意味で功績は大きい。

「ダニエル・クレイグは、ボンド像に新たな深みを与えてきた。ダメージで立ち直れない姿や人間としての脆さ、複雑な心情を内に秘めたまま、それでもどうにかやってきたジェームズ・ボンドという」

このように語るフクナガ監督だが、そのクレイグ・ボンドに対する捉え方は、「ノー・タイム・トゥ・ダイ」のなかでも生かされている。クレイグも次のように語っている。

「この作品ではかつてないほどの大きなテーマを扱っている。それこそボンド・シリーズの真髄だ。『やるからには思い切りやれ』という格言があるが、それがこれほどぴったりくる作品は、シリーズを通してもないと思う」


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「ノー・タイム・トゥ・ダイ」で、クレイグ・ボンドの活躍は最後となるが、作中では次回作に対する仄めかしも流される。ダニエル・クレイグの後を受けて、新たなジェームズ・ボンドを演じるのは誰なのか、また物語はどのように展開していくのか、気になるところではある。

2006年の「カジノ・ロワイヤル」以来、この15年間で5作品のクレイグ・ボンドの「007」が公開され、そのローテーションはざっと3年に1作。コロナ禍で公開が遅れたこともあり、次回作は案外早く登場するかもしれない。公開されたばかりだが、早くも次回作が待望される最新作だ。

連載:シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

映画
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