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人口が増え、給料が上がり、消費活動が活発化する。大きくなっていくことが国の成長だとすれば、日本は間違いなくその反対の道を進んでいる。

経済成長だけが国の成長ではない。そんなことはもう何年も議論されてきたように思えるが、明確な答えはない。その議論の題材であり、反対の道を進む象徴としての巨大な社会問題が、「空き家問題」である。

「なぜ空き家に着目したのか」
「空き家をどう活用するのか」
「空き家を介してどんな未来を見ているのか」

空き家活用株式会社の代表取締役CEO和田貴充に、空き家についての様々を問いかけるうちに見えてきた、これからの街づくりのあり方──

そこには、街づくりだけでなく国づくりのヒントさえも、隠されているようだった。

「和田、日本中を軍艦島にしようとしてる自覚はあるか?」


名は体を表すと言うけれど、まさに文字通り。空き家を活用することで街づくりをしようとしているのが、空き家活用株式会社だ。

街をつくる。それは、不動産ディベロッパーや建設会社が掲げるメッセージだろう。街をつくるとは、イコール、新しい駅をつくることであり新しい家を建てることだった。当の和田も、2010年に起業した住宅分譲の会社が軌道に乗り、新しい家を建てる不動産会社を生業としていた。

空き家活用株式会社の創業は、2015年。不動産バブルと言われる新築マンションの価格高騰が起きていた頃だ。つくれば売れる。都心部は建設ラッシュに沸いていた。そんな中で、住宅をつくる側だった和田は、空き家の活用に焦点を定め、なぜつくらない戦略に舵を切ったのだろうか。

和田は、創業の原点とも言える出来事を話してくれた。経営者仲間と訪れた長崎県の端島、通称軍艦島。島を後にする際に仲間のひとりから投げかけられた言葉に衝撃を受けたというのだ。

「和田、不動産業界が日本中を軍艦島にしようとしてる自覚はあるか?」

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軍艦島とは、日本初の鉄筋コンクリートの高層集合住宅が作られた、海底炭鉱で栄えた場所だ。1960年代には東京の人口密度を超えるほどの盛況ぶりを見せたが、今は廃墟と化し無人島になっている。

「自分はお客様に喜んでもらいたい一心で仕事をやってきた。そこに関しては誇りを持ってます。家を建てて喜ばれて、また家を建ててきた。でもこれから50年経った時に、自分が建てた家が、誰かや何かを脅かす存在になってるかもしれないと思ったんです」

そしてこう続けた。

「人が住まなくなってガランとして、そんな家が増えることで軍艦島が生まれる。その未来が見えてしまったんですよ。見えたものを、なかったことにはできないじゃないですか」

人口減少の一方で、建設は続く。ということはいつか空き家が増える可能性が高い。2019年時点で848万戸あるとされている空き家は、2033年には2,100万戸に急増すると見込まれている。つまり、3戸に1戸が空き家になるということだ。にもかかわらず、空き家という領域はビジネスとして活性化していないのは、なぜだろうか。

すると和田は「うまみがないんです。手がかかる割にお金にならない。そんなことに足を突っ込まなくても、普通に不動産の新築を建てて売れば、儲かりますから」とした後、「資金をつぎ込んで、日本全体の問題と捉えて空き家に本気で取り組んでいる法人はない。だったら俺がやらな!と思ったんです」と言った。

将来的には意義があるかもしれない、しかし今は不動産開発のように儲かる可能性は低い。そんなビジネスに和田が賭けたのは、個人的な理由も影響しているようだ。

和田は若干20歳の頃、実父の急逝に伴い、家業である建築美装業を引き継ぐことになった。しかし借金により、24歳で事業を廃業してしまう。和田自身も悔しくやるせないことだったが、それ以上に、父と繋がりがある人たちに支えられた時期だったと明かした。

「親父が死んだ後、何年も僕のことを心配してくれる人たちがいたんですよ。親父に世話になったからって。親父がたくさんの人に感謝されることをやってきた徳を、僕が受け取ってる感じがしたんです」

実際、事業廃業後に不動産営業を始めたきっかけは父の親友が声をかけてくれたからだ。「今報われなくてもいいんです。むしろ自分が生きている間にこのビジネスで大きな得はないかもしれない。でも、必ず未来の誰かに返ってくるから」

そう力を込めた。

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足で稼ぐ泥臭い仕事。でも、今はこれをやるべきフェーズ。


空き家活用で街づくりを目指す。

具体的には、どんな事業なのか。古民家をカフェにしたり、廃校をコミュニティスペースにしたりといった活用事例は時折耳にするが......と投げかけると和田は「それは枝葉の話です」と言い切った。

そして「まずどこにどんな空き家があるのかをデータベース化すること。その網羅的で精度の高いデータを、行政や不動産事業者などに使いやすく加工すること。

さらに登記簿謄本を元に、空き家の持ち主に働きかけて、売りたいと思っているのか貸したいと思っているのか、そのままにしておきたいのか。活用に繋がる生のデータを収集していきます」と続けた。これだけでも、時間と手間のかかる泥臭い仕事だとわかる。

さらに和田は「今は衛星で空き家を探すとか、ツールをクラウドサービスにするとか、テックを生かした次のフェーズに乗り出しています。ただ、空き家を探すのは結局、歩いて探すのが結局早いんです。泥臭いことが効率的ならその選択肢から逃げない、ということは大切にしています」

実際、同社が運営するアキカツクラウド(旧称:AKIDAS)という名の空き家活用データサービスには、2021年8月時点で16万以上の空き家情報が登録されており、全国でNo.1のデータベースに成長している。

「空き家を探してる間に、僕らのことを覚えてもらって、地域の人たちとの関係も作れるから。こんな面倒なこと、おじさんベンチャーでしかできない技でしょ」と笑ったのだった。

一人の情熱から、一人ひとりのWILLで進む会社へ


言葉の端々からにじみ出る情熱を知ると、和田の情熱を起点として、会社を率いてきた創業来の7年間だったのだろうと想像する。

しかし今、空き家活用株式会社は『街の物語を、分断しない、悲劇にしない。空き家問題の真因をとらえ、関与者の課題を解決する、サスティナブルな構造をつくる』を掲げ、一人ひとりが自分で考え進む組織へと変化しようとしている。

このアキカツ2.0と名付けられた社のあり方を成長させるプロジェクトに話を向けると「やるべきこと(=MUST)で人が発揮できるパワーは、8割が限度やと思うんですよ」と和田は言った。

「うちみたいに、チャレンジし続けてる会社の場合、一人ひとりに100%の力を発揮してもらわないと成長できない。できれば120%とか150%の力を出してくれたら、最高です。もちろん、長時間働けってことじゃないですよ。本当の自分のパワーを出すってことが大事」

指示命令をするからその通り動いてくれというのではなく、一人ひとりの個性を発揮しながら、パワーを最大化して欲しいと望むのはなぜか。すると、

「僕はWILLのかたまりで、あれやれこれやれと、周りから押し付けられたくないんですよ。WILLで思い切り動きたい。

そして、会社のWILLと自分のWILLの重なりが大きければそれだけ、仲間も幸せを感じられる。私たちの場合会社のWILLが社会を良化することだから、個人の幸せと社会の良化が好循環するのです。だからこそ、MUSTよりも一人ひとりのWILLを生かした方がいいと思うんです」

と言った。そして「でも誰しもみんな、強烈なWILLがあるわけじゃないっていうことは、勉強しましたよ。でもMUSTでしか動けない・動きやすいっていう人は、今のうちの会社のフェーズでは、働きにくいかもしれない」と率直な気持ちを続けたのだった。

和田以外のメンバーはどう思っているのだろうか。同社で執行役員CMOを務める坂井裕之氏に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「自分の想像の範囲で描くWILLは叶いやすい時代。欲しいものはある程度手に入るし、したい仕事もできる、やり方もビジネス書に書いてある。だからこそ、もっと遠く大きい、使命に近い課題に触れるような機会があったら、出会えたことに感謝して、やるしかないって思うんです。

私たちのビジョンを実現することは簡単ではないし、今の僕の得より未来の子どもたちの得になる。だからこそ挑戦しがいがあるので、必ずやり遂げます」

坂井のWILLは、会社のWILLを実現するところにあるようだ。

生きている間、空き家問題は解決しない。活用サイクルのきっかけはつくり切る


心強い仲間たちとともに目指す先に、和田は何を夢見ているのだろうか。未来への思いを、改めて聞いた。

「自分が生まれた時よりもいい未来になるように、今をつなぎたい。僕の人生を懸けても、空き家問題は解決しないと思っています。そんな簡単なことじゃないから。

でも、空き家が問題になるのではなくて、資産として活用されるサイクルの起点は作れると思う。それができれば未来のよりよい街づくりにつながるはずだから、精一杯やり遂げたいですね」

街づくりとは何も、新しいものを次々につくることだけではない。

日本にはもうすでに十分な数の建物がある。そこに新たな人が住まうことで、暮らしが生まれる。暮らしの中で、周囲とのかかわりが生まれ、コミュニティができる。その繰り返しで、街が息を吹き返して彩りが生まれるのだろう。

日本のこれからの街づくりはきっと、新しくつくるのではない。“あるを活かす”から始まるのだ。

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