ワクチン未接種の米大学生、半数超が「接種済み」とうそ

Joe Raedle/Getty Images

米国で新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が義務化されている大学に通う学生のうち、実際は未接種にもかかわらず接種済みと偽った人が半数超にのぼることが、最新の調査で明らかになった。

調査は、大学情報サイト「Intelligent.com」の委託でオンライン調査プラットフォーム「ポールフィッシュ(Pollfish)」が2021年7月16日に実施した。スクリーニング質問によってワクチン未接種の学生を絞り込んだあと、対象者1250人について接種歴に関するフォローアップの質問をした。

それによると、通学している大学から新型コロナワクチンの接種が義務づけられているが、まだ接種していない学生のうち、55%が接種歴について大学側にうそをついたと回答した。やり方としては、自分で作るか購入した偽のワクチン接種記録カードを使うものが最も多く、46%がそうした偽造品を提示していた。

大学側から接種記録カードなどの証明書の提示を求められなかったため、たんに口頭もしくは書面で接種済みと伝えるだけで欺けたという学生も19%いた。16%は医療上の理由で免除されているとうそをつき、15%は宗教上の理由で免除されていると偽っていた。

未接種の人が欺いている相手は大学当局者だけでなく、51%は社会的な活動の場でも接種歴を偽っていた。理由としては、ワクチンについて考え方の違う人との衝突を避けたいからと答えた人が60%を占めている。

性別では女性(41%)よりも男性(61%)のほうが接種歴を偽る傾向が強かった。人種別にみると、アジア系(65%)と白人(60%)でうそをついている人が比較的多かった。

今回の調査は自己申告によるものであるため、結果には留保が必要だが、いずれにせよ新型コロナウイルスの広がりや深刻さ、感染力を考えると、接種歴についてうそをつくことはけっしてささいなことではない。それによって、重大な、場合によっては文字どおり致命的な結果になることもあるからだ。接種歴の詐称は、試験でのカンニングや論文の盗用、研究レポートの改ざんなど、多くの大学が重大な問題と認識している学術不正と同じくらい深刻な倫理違反だとも言えるだろう。

大学側には、学生や教員、職員の安全を守る責務がある。学生や教員、職員がワクチン接種についてうその申告をしたとわかった場合には、厳正に対処すべきだ。そうしなければ、接種の義務化は空文と化し、それに従っている人の身も守れなくなってしまうだろう。

編集=江戸伸禎

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