米国で高齢者のロマンス詐欺被害が急増、背景にコロナ禍の孤独

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公聴会に出席した全米消費者法律センター(NCLC)の弁護士オデット・ウィリアムソン(Odette Williamson)は、ロマンス詐欺は高齢者に最も大きな被害をもたらす詐欺のひとつだと述べた。

「新型コロナウイルスのパンデミックによって、感染者や死者が多数出たことに加え、社会的に孤立したり、ソーシャルディスタンシングの措置が取られたりしたことで、高齢者をターゲットに絞った特定の詐欺が増加する土壌が生まれた」

商事改善協会(BBB)のBBBマーケットプレイス・トラスト協会が発表した報告書によれば、55歳から64歳の高齢者にとって、パンデミック中に最もリスクが大きかった詐欺がロマンス詐欺だった。

上院議員リック・スコット(共和党・フロリダ州選出)は、ロマンス詐欺がとりわけ厄介なのは、警察が犯人を特定するのが困難なことだと述べた。

公聴会では、ロマンス詐欺の被害者としてケイト・クレイナート(Kate Kleinert)が証言し、詐欺被害を警察に届け出たが、取り合ってもらえなかったと訴えた。

夫に先立たれたクレイナートは、詐欺師に渡した3万9000ドルを取り戻す手段や、相手に責任を負わせる手段がないことにいらだちを覚えた、と公聴会で証言した。

「3万9000ドルはたいした被害ではないと思う人もいるだろうが、私のような人間にとっては大金だ。被害による悪影響は今も続いている。自宅で何か壊れても修理するお金がない。今年の夏は、エアコンも冷蔵庫もコンロも使えなかった」

クレイナートはまた、最大の痛みは金銭的なものではなかったと述べた。何よりもつらかったのは、「相手男性からの愛情を失い、手に入ると思っていた家族や新しい未来を失ったこと」だという。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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