ビジネス

2021.10.06

ダイナミックな「国潮」って何だ? 消費を変えた「Z世代」の進化


「バイトダンスはアメリカのショート動画の会社(Musical.ly)の買収で成功したとされますが、初期のサービスは国内で成功したニュースメディア。日本のスマートニュースやグノシーと類似したサービスです」。欧米や日本のビジネスモデルを中国市場に『タイムマシン』でもち込み、独自に発展させて成功した事例は多い、と濱野。

逆に、勝ち抜いた中国企業のモデルを日本に時間差で輸入できる可能性もある。「ヤフーのPayPayは、大成功したアリババの『支付宝(アリペイ)』を分析したはず。日本でライブコマースは定着していませんが、中国では日常になっている。5Gが前提のビジネスモデルも日本でこれから活用できるものが多い」。

その例として、VRやARのサービス、遠隔フィットネスや遠隔医療、遠隔教育、AIや自動運転を濱野は挙げた。「あるいは国単位だと、導入の実証実験が始まっている『デジタル人民元』のようなデジタル通貨のモデルがそうです」。

一方で、14億のマーケットへ果敢に攻め込む実力が日本企業にはいまも十分ある、と数々の進出を支援する立場から自信を覗かせた。「日本のブランドが『メジャーリーグ』の中国市場でどう戦うか。数字に踊らされず、自社が戦うべきセグメンテーションを定めたニッチ戦略の策定や、自社が狙う顧客層をしっかり定義することが不可欠です」。


濱野智成◎1985年生まれ。トレンドExpress代表取締役社長。デロイトグループ最年少シニアマネジャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。その後、ホットリンクに参画。同社COOとしてグローバル事業、経営企画などを担当。17年に新規事業を分社化し、現職。「日本のブランドを世界へ」を掲げ、越境ビジネスを支援。

文=神吉弘邦

この記事は 「Forbes JAPAN No.084 2021年8月号(2021/6/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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