もうひとつ常識外れなところがある。一般的なファッションブランドは季節性やトレンドを強く意識するものだが、READYMADEはその逆をいく。
ヴィンテージ素材のリメイクは、サステナブルなものづくりに通じる。ミリタリー廃材を解体して再構築し、反戦の意思を示す。ブランドとしての普遍的な価値観を重視したアイテムづくりに徹することで、トレンドに敏感な消費者ではなく、価値観を深掘りたい「これからの時代」の消費者を引き寄せているのだ。
確かに、いまの消費者動向を眺めると、トレンドに乗っかっていくブランドではなく、自社の価値観を深掘っていくブランドにシフトしているように感じる。効率的で新しい手法をやみくもに取り入れていくのではなく、価値観を主軸にした手法でアレンジしていくことが、結果として愛してくれるファンを増やすことにつながるのだろう。
SNSが当たり前の社会になり、マスでの「流行」そのものが起きづらくなるこれからの時代の成功戦略として、READYMADEの事例は示唆に富んでいると思う。
多様な手法が次々と生まれる時代、過去の慣例にとらわれることなく、かといって無条件に先端テクノロジーを取り入れるのでもなく、ブランドの価値観を軸足に取捨選択することが成功につながっていく。そんな時代になるだろう。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。