グルネバウムはヘルスケア・ドットコム傘下のサイト「ヘルスケアインサイダー(HealthCareInsider)」に掲載された記事で、医療ツーリズム界のエクスペディアと称されるメディカル・デパーチャーズ(Medical Departures)によるデータの分析結果を紹介している。それにより分かったことは次の通りだ。
・米国人は新型コロナウイルスの流行中も、治療のための海外渡航を続けていた。
・歯科などの医療を受けるため海外に渡る米国人の推定人数は、2019年が78万人、20年が29万人だった。21年は65万人と予測されている。
・医療観光はおおむねコロナ禍前の状態に回復。支出は20~50%増えた。
・外国で治療を受ける米国人は、米国での治療と比べて50~80%の費用を節約している。
・メキシコは米国と比べると歯根管治療が80%安く、体外受精は75.5%安い。
・米国人が医療・歯科治療のため向かう主な旅先としては、フルマウスリコンストラクション(全顎治療)や歯科インプラントで人気のメキシコ・ロスアルゴドネスや、鼻の美容整形で人気のコロンビア・ボゴタ、人工股関節置換術で人気のフィリピン・パサイがある。
・他に人気の旅先には、タイのバンコクやメキシコのティフアナなどがある。
メディカル・デパーチャーズのジェーコブ・ポープ最高執行責任者(COO)は、米国人の医療観光で同社が占める割合は15%で、メキシコだけでも年間10万人以上の米国人が同社を通じて医療観光に出向いていると述べている。
米国人の多くは、手頃で質の高い歯科治療を海外の医療機関に頼るようになっているが、他にも体外受精や整形外科手術などが人気を得ている。
医療ツーリズムが生む経済効果は大きく、多くの国や都市が誘致に励んでいる。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイやシンガポール、マレーシアがその例だ。米国内外にさまざまな医療仲介業者がおり、入院の手配や世界中の医師の紹介、飛行機やホテルの手配、観光情報の提供を行っている。