ビジネス

2021.10.01

アジアに浸透、拡大させる「福利厚生金融」という希望

VENTENY創業者 和出潤一郎


具体的には、提携企業の従業員向けに給与前払いサービス、給与前貸しサービス、教育ローン、オートローン、プリペイドVISAカードなどを提供している。ウェブ上、スマートフォンのアプリ上で簡単に申請できる。

「個人の与信よりも企業の与信力を用いている。そのため(市場の平均金利と比べて)低金利で迅速な送金手配、かつ、給与天引きでの返済となるため、回収率がほとんど100%に近い」。現在、インドネシア、フィリピンにて現地中堅、大手企業を中心とした500社以上が利用しているという。

VENTENYではそれに加えて、中小企業向けの資金需要にも応えるため、企業への貸付という「BtoB」事業も並行して行っているのも特徴だ。VENTENYの事業がユニークで、かつ、規模拡大を可能にするビジネスモデルである理由だ。

従業員向けの「InsurTech」も、生命保険や傷害保険、運転保険など従業員の生活、働き方にあった保険を提供するためで、「今後も更にパートナーシップを広げながら進める」という。

現在、これらの金融サービス(貸付金)の成長率は、コロナ禍にも関わらず昨年比1000%以上の成長を遂げ、黒字化を実現している。今後は東南アジアでの上場という選択肢も視野に入れて、さらなる成長を目指し、近年中にサービスを展開する国をさらに増やす予定だ。


わいで・じゅんいちろう◎米Northeastern University経済学部卒。PwC Consultingに新卒として入社。国際案件を中心にコンサルティング業務に従事。国内外の企業で活躍後、2015年にVENTENYを創業。

文=山本智之 写真=市瀬真以

この記事は 「Forbes JAPAN No.084 2021年8月号(2021/6/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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