マサチューセッツ州のチャーリー・ベーカー知事(共和党)は8月19日、警察を含め、すべての州政府機関の職員に対し、10月17日までにワクチン接種を完了し、証明書を提出することを求める知事令を発令した。
知事令によると、接種を希望しない職員が代わりにPCR検査などで陰性を証明することは認められておらず、違反した場合には、解雇される可能性がある。テレワークで業務を行う職員も対象となっていることから、他州に比べても厳しい内容だとされている。
同州の警察官のうち、およそ1800人加入するSPAMはこの知事令の差し止めを求め、9月半ばに州を提訴した。だが、州裁判所は先ごろ、この請求を却下。SPAMによると、警察官たちはその裁判所の判断を受け、一斉に辞職願を提出し始めたという。
SPAMのマイケル・シャーベン委員長は発表した声明の中で、知事令を厳しく批判。「国内で最も厳格」な内容であり、その発令によって「すでに深刻な人員不足にしている」同州警察を、さらに弱体化させることになると述べている。
ただ、同州警察の広報担当者はフォーブスの取材に対し、「ワクチン接種の義務化を理由に辞職を検討している警察官がいることは認識している」ものの、28日朝の時点で、義務化を理由に実際に離職したことが確認されているのは、1人だけだと話している。
シャーベン委員長は声明で、組合員が求めているのは、「その他の数多くの部門がそれぞれの初期対応者たちに基本的に適用しているのと同じこと」だと主張。また、「新型コロナウイルスに関連した病気を、公務による負傷(疾病)と認めてほしいだけだ」と述べている。
同州のテレビ局、WBZ-TVによると、同州の警察官のうち、まだワクチン接種を受けていない人は、およそ20%とみられる。また、ミネソタ州の総合病院、メイヨー・クリニックの調査によると、マサチューセッツ州では67.8%がワクチン接種を完了しており、知事令の影響を受ける人は、それほど多くはないとの見方もある。
一方、ニューヨーク市も公立学校の教職員に対し、ワクチン接種を義務化。27日までに少なくとも1回の接種を受けたことを示す証明書の提出を求めるとともに、検査での陰性を接種に代えることは認めないとしていたが、連邦控訴裁判所の判断により、これらの実施は一時差し止められている。