とにかく初期投資が少なくてすみ、借りやすいのに、入居期間の柔軟性があるため、返しやすい。そんな「かゆいところに手が届く」のがBizflexだ。さらにシェアスペースを活用した賃借面積の合理化や、オフィスDXの標準装備、サステナビリティへの取り組みなど、かなり革新的な商品企画となっている。ありそうでなかった新しいカテゴリの賃貸オフィス。その魅力に迫る。
ハイブリッドでフレキシブルな賃貸オフィス
「オフィス」といえば、一般的な賃貸オフィスに加え、昨今はスタートアップを中心にシェアオフィスが人気を集めている。一般の賃貸オフィスは、レイアウトの自由度が高く、独立性やセキュリティ性に優れる一方で、賃料の10~12か月分を敷金として預けるとともに、入居時の工事には多額の費用と手間がかかるなど、借り手の負担が大きい。一方で、シェアオフィスは敷金がなく、家具なども揃った状況で借りられるため、利用しやすいが、同じフロアを複数企業が共用するため、セキュリティ性や企業文化の醸成といった面で敬遠する企業も少なくない。そんな賃貸オフィスとシェアオフィスの優れた部分を掛け合わせたハイブリッドなオフィスが、ヒューリックが新たに提供するフレキシブルオフィス「Bizflex」だ。
「Bizflexは新築一棟型の中規模オフィスビル。そのうちの1フロアをシェアフロアとし、機能の充実した会議室やラウンジを入居企業で共用するシェアオフィスの良さを取り入れた上、テナントの利用区画は1フロアを専有するゾーニングにしています。それによってテナントの独立感やセキュリティ性を高め、さらに企業文化の醸成や社員のエンゲージメント向上にも有効だと考えています。Bizflexは賃貸オフィスとシェアオフィスの優れた部分を融合させた新しいオフィスとして開発されました。」
そう語るのはヒューリックビル事業企画部の竹内だ。
天然の樹木が迎える共用ゲストラウンジ
専有フロアにも会議室やコミュニケーションコーナーを設置
「借りやすく、返しやすい」新しい賃貸モデル
そんなBizflexの最大の特徴は、入居時の多額の入居コストや複雑な手続きを大幅に削減する新しい賃貸オフィスモデルにあるという。従来の賃貸借契約にサブスクリプションモデルを組み込むヒューリック独自の仕組みによって「借りやすく、返しやすいオフィス」を可能にしている。その特徴をヒューリックビル事業企画部の福岡は次のように説明する。
「通常、オフィスを借りると、見えざる負担が意外と重たく感じる方が多いと思います。例えば、借り手は、入居するまでの工事の準備や家具選定に数カ月かかることも多く、契約期間が始まってからも入居工事や退去工事の間は入居できないのに賃料がかかるため無駄も発生します。また、水光熱やネットワーク費用などランニング費用の管理や精算の手間もかかります。
Bizflexはサブスクモデルのためこれらから手間から解放され、すぐに入居できてすぐに使える画期的な商品設計になっています。また、敷金は不要で、内装や家具もセットアップされていますので、投資額が抑えられ、キャッシュフローの観点からもこのように費用を平準化した借り方への需要はあると考えています。人員増を伴う急成長で移転をする際、3カ月前の予告で退去できる点も機動的な経営計画をサポートできるのではないでしょうか」。
Bizflexの専有面積は1フロア50坪~80坪程度で、従業員が20~40人程度の企業がメインターゲットだ。少人数の従業員からスタートした企業が、成長段階の途中で借りやすいサイズであるとともに、テレワークの活用でオフィス面積を縮小したい企業のヘッドオフィスという使い方にもマッチする。まさにBizflexは時代がオフィスに求めるニーズを捉えた新しいオフィスだといえるだろう。
オフィスDXによる生産性サポートやサステナビリティへの貢献
「Bizflex」を語るうえで不可欠な要素として、オフィスDX(デジタル・トランスフォーメーション)がある。例えば、クラウドカレンダーと連携した会議室予約システムや受付対応の手間を省くゲスト受付システム、社内メンバーの居場所や状況を見える化できるシステムなどが、当初からオフィスにインストールされている。
「BizflexのオフィスDXは、単にオフィス内の設備をスマホから操作できるというレベルではなく、オフィスハードとデジタルツールの連携基盤としてのプラットフォームを構築することで、テナントの業務効率や手間を削減することを目的にしています。例えば、社内メンバーのスケジュールと居場所の見える化により、『今、来客対応中なのか、自由な時間なのか』が把握できます。自身が在宅勤務をしていても上司の予定が空いていて自席にいることが一目でわかれば、すぐに連絡を取って打ち合わせができる。そんな効率のいい働き方が可能になります。これはほんの一例ですが、社会のあらゆるクラウドサービスとオフィスをデジタルでつながることで、生産性の向上につなげる。それがBizflexの目指すオフィスDXです」(竹内)
今後もプラットフォーム上にサービスや連携先を増やしていくことで、オフィスを継続的にアップデートしていくという。さらにBizflexの先進性を象徴するのはDXだけではない。サステナブルという観点にも注力しているという。
「サブスクにすることで貸し手が内装工事や電力をコントロールでき、サステナブルな取組みも向上します。例えば、通常、テナントが入れ替わるたびに内装や家具を大量に廃棄することが多いのですが、Bizflexはセットアップオフィスなので、長期の利用が前提です。床材には通常のカーペットではなくタイル材を使用するなど、耐久性やメンテナンス性に優れた長寿命の素材を活用することで長期利用を可能にし、廃棄物を削減します。さらにBizflexでは再生可能エネルギー由来の電力を使用予定で、エネルギーの面でも環境への負荷軽減を図ります。サステナビリティやSDGsへの取り組みが企業価値に反映される今、サステナブルを推進するビルへの入居は、取引先など社外からの高評価につながるという効果も生まれます。つまり企業ブランド向上という観点からもBizflexは貢献したいと考えています」(福岡)
最近、ベンチャーキャピタルは「環境への積極的な取り組み」を、投資先を選ぶ際の重要項目にすることが多く、IPOなどを目指して成長するベンチャー企業にとっては大きな魅力といえる。
麻布十番を皮切りに、都心の駅近に次々とオープン
賃貸オフィスの概念をアップグレードし、利用しやすさのみならず生産性や企業ブランドの向上にも寄与できるBizflex。その第一弾となる新築オフィスが麻布十番駅から徒歩3分にオープンする。10月には内覧会が開催され、11月以降に入居が開始される。6階建てビルの1階はシェアフロアで、シェア会議室、ゲストラウンジなどを配置し、ドリンクサービスや来客用WiFiも完備。2階~6階は占有フロアで、約73坪の専用区画は、内装・家具付きで専用会議室とテラスを配し、フロア専用WiFiも完備している。
「ビル全体のデザインは、ワークプレイス構築で世界的に実績のあるGensler社に監修を依頼しました。コミュニケーション量を増やす洗練されたレイアウトに加えて、バイオフィリア(人間が自然との調和を求める性質)を意識し、木目の素材や天然の樹木を取り入れました。また貸室のテラスからワーカーは外に出られるため、空気や光を感じやすくなっている点も斬新です。テナントの顔となる、共用フロアのグレード感やセキュリティにもこだわりましたので、来社するクライアントからの信頼感や人材採用にも貢献できるのではないかと考えています」(福岡)
10月には内覧会が開催されるBizflex麻布十番の外観完成イメージ
Bizflexは麻布十番を手始めに、東京都心の駅近で順次オープンする予定だ。六本木、神田、浜松町などでの開発が決まっており、今後年間5棟程度のペースで供給する予定だという。
Withコロナ、Afterコロナを見据え、本格的に働き方が変化しつつある今、企業のニーズに合わせてフレキシブルに利用することができ、さらに生産性向上をオフィスがサポートしてくれる、ありそうでなかったBizflexのようなオフィスは、企業にとってオフィス選びの際に新たな選択肢となることは間違いない。
■Bizflex特設サイト
https://www.hulic.co.jp/business/rent/bizflex/
福岡雄一郎◎ビル事業企画部ビル事業室長。1998年、野村不動産株式会社に入社。住宅事業、オフィスビル事業に従事。2018年、ヒューリック株式会社に入社。ビル事業企画部ビル事業室長として、同社のオフィス事業の企画や営業に従事。
竹内佑太◎ビル事業企画部ビル事業室。2017年、新卒でヒューリック株式会社に入社。同社の新築オフィスビルや商業施設の企画・営業に従事。オフィスDXの取組も担当。