2018年9月にオープンした同店は、「体験重視型」のレストラン。月額3980円の会員になると、毎日1食のカレーを無料で食べることができるほか、1日店長になったり、部活動を立ち上げたり、会員限定のSNSで繋がったりと、コミュニティイベントにも参加できる。
会員数はオープンから1年で300人を突破。連日満席となったことから、翌年には渋谷にも出店し成長の一途をたどっていた。
ただ、コロナ禍になると休業や時短営業、アルコールの提供停止などで収益が減少。会員制(=常連客の育成)にこだわっていたことが幸いし、会員数は 10%減に留まったが、減益を補うためにデリバリーを実施してきた。ところが、今年8月にその休止を決めた。
「デリバリーをやめる」という決断
6curry ブランドプロデューサーのもりゆかは、デリバリーに関しては兼ねてから“葛藤”があったという。
「本当にこれが6curryのカレーと言ってもいいんだっけ? とモヤモヤする思いがありました。デリバリーの場合、料理しか提供できません。お客さまにとっては便利だと思うのですが、果たしてそれは“体験”を重視している当店がやるべきことなのか、と……」
(左から)6curry コミュニティクリエイターの廣瀬彩とブランドプロデューサーもりゆか
店内で飲食する会員に対しても、デリバリーオーダーが入ったり配達員がやってきたりすると、そちらの対応に追われて、会員に提供できる価値が少なくなってしまう。「この店で一番大切にしなくてはならない“カレーを食べにくる体験”をないがしろにしてしまうのは、本末転倒ではないか」。そんな想いから、今回の決断に至った。
狙いはつくり手と食べ手の“MIX”
では、デリバリーの代わりに何をするのか。それは、6curryが大切にしてきた“体験”を、コロナ禍でも楽しめる形に昇華した、新しい食事体験「一夜限りの晩餐会」の提案だ。