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それならば私たちがやろうと決め、日本中の山や川、森、海に引率した。今では、年間で1万人以上の子どもが参加するまでになり、小学生を対象にした川遊びの体験、無人島体験など、たくさんのコースがある。

しかし友達同士での参加は無し。普段は家族や友達に囲まれて過ごす子どもも、全く新しい関係の中で、探り合いながら力関係を作っていく。リーダーシップを取って兄貴分になる子もいれば、問題を起こして周りから眉をひそめられたりする子もいる。

6年生向けの無人島コースでは、自分たちのご飯は自分たちで得る、本格的なサバイバル体験をする。浜辺に泳ぐ小魚を集めて食べようと、木の棒を使って竿を作ってみたり、洋服を入れてきたビニール袋を使って追い込み漁に挑戦したり、子どもたちは知恵を絞って食料を得るのだ。

学校では得られない体験によって思考力を育み、親は帰路についた子を迎えて「たくましくなった」と口を揃える。たった2泊3日でも子どもたちは成長する。

人生を球体で考える


こうした子どもたちへのプログラムを提供しながら、花まる学習会は、30年近く続いてきた。しかし、開業して半年もしないうちに確信したのが、「これは、親という関数に手を突っ込まないと、本当には変わらないな」ということだった。

そこで、保護者向けの講演会を続けて来た。私自身もコロナ禍前までは、年間150回以上の講演を続けているほどだったし、若手社員もたくさんのイベントや会合に講演者として呼ばれるまでになった。

そして、子どもの能力分析からスタートして、学習塾で定点観測してきた者として、令和の今、こう思う。

これからの教育がどうあるべきかという問題の一番のポイントは、「家庭」であると。どんなに良い教材に取り組ませようが、目新しい指導メソッドを取り入れようが、家庭が安定しなければ効果は無い。

どんなに子どもに良いと信じる指導を続けていても、家に帰れば、イライラした母が怒鳴り散らしているようでは、伸びるものも伸びないということだ。


Getty Images

とりわけ、子どもたちが共に長い時間を過ごし、心を寄せ頼り切る「親」「夫婦」ということにメスを入れなければ、意味はない。

私は、父親講演会で、こう表現している。「お父さん、あなたは厳しい入試の勝ち組でもあろうし、仕事でも結果を出してきた方かもしれない。しかし、人生を球体に例えると、仕事は所詮北半球での成功にすぎない。

人間世界では、社会との関わりとしての仕事の北半球と、家庭人としての南半球が、等価の役割として存在する。あなたは、本当に南半球でうまくいっていると言い切れますか。

もっと言うと、たった一人の妻を心底笑顔にできていますか」と。かなり高収入の起業家の集まりの男性陣の前で講演したときにも、この一言に、それまで自信満々であった聴衆は、伏し目がちになり、静まり返った。

詳細は次項に譲るが、北半球同様に南半球も輝かせるために、何よりも子どもたちの教育成果を上げるために、どこに気を付けるべきかを書いてみたい。

文=高濱正伸 編集=露原直人

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