有給の育児、医療休暇制度に遅れの米国、連邦議会での審議進む

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米国のシンクタンク「予算・政策優先度決定センター」のシニア政策アナリスト、キャスリーン・ロミグ(Kathleen Romig)はCNBCで、「過去6カ月間に賃金を得ているという条件を満たせば、ほぼすべての労働者がこの有給休暇を取得する資格がある」と述べた。平均的な労働者の場合は、最長で年12週間は、給与の約60%を受け取れるようになる。ただし、最大限度額は月4000ドルだ。低賃金労働者の場合は、休暇取得中に収入の約80%を受け取ることができる。パート従業員と自営業者にも、同等の資格が与えられる。

この法案の支持者は、子育てに関する適切な選択肢が揃っていれば、労働者の生産性は向上し、ひいては企業にも利益があると主張する。子育てを巡る環境が整っていない状況での経済的損失を取り上げた研究では、年間で570億ドルもの潜在的な収益が失われることが明らかになった。

質が高く手ごろな料金の託児所が利用できれば、労働参加率は上昇するだろう。逆に、託児所が不足すれば、親たちは子どもの世話などに追われて外で働くのが難しくなり、母親の仕事やキャリアは損なわれる。育児中の親たちからは、家族や家事に時間をとられて労働時間が減ってしまうという声が出ている。育児を主に担っている人の約86%は、なかなか働けないのは育児が理由だとしている。

託児所が広く利用可能になれば、仕事と育児を両立する手立てがなくて働きに出られない人は、仕事探しに着手できるし、父母が揃った世帯は収入が増加するだろう。

ここ40年で、働きに出て収入を得る女性が増えてきた。中流家庭の収入増加分のうち、91%は女性によるものだ。世帯収入が増えれば、老後に向けて備えができる。余ったお金を消費に回せば、経済が刺激されて成長が促進される。

子育てに資金を投入すれば、米国の競争力は強化されるだろう。米国は現在、子育てと就学前教育への投資額に関して先進国に後れを取っている。これは、競争する他国の労働参加率が上昇する一方で、米国の労働参加率が低下している大きな一因だ。子育てに投資をすれば、こうした傾向を逆転させ、米国企業が21世紀に勝利するための後押しとなるだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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