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2021.10.05 07:00

可能な限り「まるごと食べる」。ミツカンが挑む次なる食のステージ

豆や野菜をまるごと使ったZENBシリーズは200年以上続く企業のフィロソフィーから生まれた。

野菜や豆の皮から芯、種までを可能な限り捨てずにまるごと使う。素材本来のおいしさと、栄養素を最大限に引き出したプラントベース食品「ZENB(ゼンブ)」。ミツカングループのZENB JAPAN(ゼンブ ジャパン)が発売する新しい食のシリーズは、添加物に頼らない「カラダにやさしい」「おいしい」と口コミで認知度を伸ばしている。ZENBのコンセプトについて、また商品誕生までの経緯や、今後の展開について同社CEOの濱名誠久に話を聞いた。

野菜を丸ごと使う業界初の取り組み


濱名は、2017年、ミツカングループで日本アジア事業の陣頭指揮を取る副社長の立場にあった。「酢や、味ぽんなど多くの支持をいただいているラインナップとは別に、ミツカンの過去のルーツ、これから10年先のビジョンを踏まえた今までにないビジネスモデルを考えていた。お客様と一緒にブランドを作っていけるようなものです。その時に挙がったのが『自然の力を生かした商品を届けよう』という企画だったのです」

企画立案から3年半をかけて開発されたZENB。野菜を丸ごとペースト状にした「ZENB PASTE」、黄えんどう豆100%の乾麺「ZENB NOODLE」など、楽しいバリエーションが揃う。コンセプトは、植物を「可能な限りまるごと食べる」というもの。動物性原料を使用せず添加物に頼らず、皮から種まで野菜を丸ごと使う食品は、業界初の取り組みだ。ミツカンから豆や野菜の商品が誕生したのも、意外性をついている。

パスタのホームページ
ZENBのホームページ|ZEMBシリーズは現在、ヌードルと野菜ソース、スープヌードル調味料、野菜ペースト、スナック感覚のスティックとバイツがある。

ミツカンのサステナブルなルーツが起点


ミツカンといえば「お酢」だ。それがプラントベース商品の企業を誕生させたのはなぜか。

「ミツカンの創業は1804年。当時廃棄されていた酒粕からお酢を作って、江戸に持っていって販売した。江戸前寿司が流行り出したところだったので、当時からお客様に受け入れられビジネスとして大きくなったというルーツがあります。ミツカンがやってきたこのルーツが連綿とつながって、いまの事業があると思っています」

つまり、発想の起点は、捨てていたものをうまく活用するという、ミツカンが創業当時から守り続けたサステナブルな思想だった。ゴミを出さない、環境への負荷が少ないもの、かつ、人のカラダにも優しくおいしいもの。このミツカン独自の考えをベースにしてその先を行く新たな商品が、濱名率いるZENBが目指すものだ。

プロジェクトのコンセプトが形となっていった2018年、ミツカングループは10年先の未来を見据えた「未来ビジョン宣言」を発表する。「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」、そして有名なキャッチコピー「やがて、いのちに変わるもの」の理念に沿った新しい商品開発の機運が全社を挙げて高まっていた。その流れに押されてプロジェクトは一気に進む。そして濱名は、あえて本業のミツカンから離れる。

「ミツカンと並び立つほどの存在にしたいと思ったのです。味ぽんを売るミツカンの一商品、一プロジェクトではなく、日本でも世界でも普遍的なものとして通用するものを作る」

このビジョンのもと、濱名は社員40人を率いてZENBを設立する。
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文=中沢弘子 写真=西川節子(人物)

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