ビジネス

2021.09.28 07:30

アイデアは伝播する。世界で生まれる類似ビジネス


2. セラシオ型企業


アマゾンに出品し伸びつつある小売業者を買収。商品開発やマーケティングを支援してブランドを成長させることで利益を得る。買収した企業にはM&A時の報酬やその後のアーンアウト(業績連動報酬)が提示されることが多い。

Berlin Brands Group ベルリン・ブランズ・グループ




設立(サービス開始):2005年
拠点:ドイツ

メーカーと消費者の間の流通やマーケティング、販売を一挙に担うモデルが小売業者から支持され、右肩上がりに成長している企業。アメリカのDtoCの小売業者はほとんどがアマゾンに頼っているのに対して、ヨーロッパには選ぶべき複数のプラットフォームが存在する。例えばフランスでは、消費者はアマゾンをあまり好まないため、BBGは流通や販売が最適化されるほかのチャネルを提案している。現在約14のブランドを抱え、2020年には3億ユーロの純収益をあげた。

Heroes ヒーローズ




設立(サービス開始):2020年
拠点:イギリス

ロンドンのブルーニ兄弟が創業。従来DtoCブランドではローンチ当初は製品と市場の適合性が悪く、成長するまでに多大な顧客獲得コストが発生することが散見された。対して彼らは、すでに市場に受け入れられ成長し始めているブランドを買収することに注力し業績を急速に伸ばしている。また主にヨーロッパ市場に焦点を当て、各国のアマゾンマーケットプレイスにローカライズし販売最適化することで競合との差別化を図っている。大きな調達を実現していることから注目度の高さがうかがえる。

3. トローブ型企業


メーカーが自社製品の中古品を販売するための販路や流通、技術、マーケティングなどを一手に請け負う企業。サステナビリティ意識の高まりや、中古品購入をいとわない若い世代が増えてきていることから、その存在価値が高まっている。


Thred Up スレッドアップ




設立(サービス開始):2009年
拠点:アメリカ

集まった古着をサイト上ですべて見せるのではなく、デザイン性高くキュレーションすることで人気の高い古着専門のECサイト。古着が本物であることを保証するシステムがあるため、大手百貨店やGAPなどのアパレル業者も好んで提携し、返品された商品の再流通に取り組んでいる。昨年にはウォルマートのネットショップ内にもThredUpのオンライン店舗がオープンし、消費者は新品を選ぶ感覚で気軽にネットから古着を購入できるようになった。

concamo カウカモ




設立(サービス開始):2015年
拠点:日本(東京、神奈川)

ツクルバが運営する、中古・リノベーション住宅の売り手と買い手をマッチングするプラットフォーム。独自の取材に基づくストーリー仕立ての物件紹介ページや、CGによるリノベーションプラン提案等で、年間150万人超のユーザーに物件を魅力的にアピール。中古物件の価値を見いだしやすくし、早く適切な価格で成約できる仕組み。首都圏の中古住宅流通件数はいまや新築を超えるほどに伸びており、今後さらなる事業拡大を見込んでいる。

文=田野早希子 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN No.084 2021年8月号(2021/6/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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