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I write about how retailers can determine what customers really want.

ワシントン州シアトルのAmazon.com Inc.本社にあるAmazon Goストア(Photo by David Ryder/Getty Images)

アマゾンがデパート事業に参入するというニュースに、多くの小売業者は多少なりとも驚いた。アマゾンにとってデパートとは、長年にわたって攻勢を仕掛けてきた相手であるからだ。

Eコマースの巨人として業界を蹂躙するアマゾンの時価総額は、2021年に1兆7000億ドルに達した。Eコマース全体の業績が市場シェアを拡大しつづけるなか、従来の小売店は、不採算店舗の閉鎖による対応を強いられている。UBSのアナリストの予測では、2025年までに米国の実店舗は10万店減少するとされている。そんななか、アマゾンは実店舗をオープンし、衣服や日用品を販売するとともに、返品・交換を容易にしようとしている。

国際ショッピングセンター協議会(ICSC)の理事であるアダム・W・イフシン(Adam W. Ifshin)は2021年、次のように述べた。

「Eコマース業界で重要な企業は1社だけで、それはアマゾンだ。彼らは何をしているのか? ウォルマートになろうとしているのだ」

アマゾンの実店舗進出は、業界にとって何を意味するのだろう? 市場が飽和状態のなか、アマゾンはデパートビジネスで「勝つ」、あるいは競合できるだけの差別化要素をもっているのだろうか?

ニューヨーク・タイムズは2021年8月17日、「人々はいまやウォルマートよりもアマゾンで、多くのお金を使っている」と題した記事を掲載し、「オンラインの未来がやってきた。中国以外で最大のEコマース企業であるアマゾンは、最大の実店舗小売チェーンを追い落としたのだ」と、この節目について報じた。

同記事によると、近い将来この日が訪れることはアナリストの予想の範囲だったが、パンデミックに起因するEコマースブームが時期の到来を早めた形になった。調査会社イーマーケターによると、Eコマース売上全体にアマゾンが占める割合はウォルマートの約6倍にのぼる。「米国でオンラインショッピングに使われる1ドルのうち、アマゾンは41セントを占めるが、ウォルマートの取り分はわずか7セントだ」

アマゾンのオンライン売上の大部分は、マーケットプレイスによって占められている。同社のプラットフォームでは、サードパーティセラーが展開するビジネスが、アマゾン自体の販売規模を上回る。だが、このモデルがウォルマートよりも優れているのは明らかだ。アマゾンは、プラットフォームで販売される商品の56%に関して、製造、在庫、賃料などにコストをかけずにすむのだ。

アマゾンが実店舗をオープンする際には、同社もこうしたコストを負担する必要が生じる。結果として、業界の競争条件の偏りがやや緩和されるかもしれない。

以前にも述べたが、筆者の考えをもう一度繰り返しておこう。

アマゾンは小売企業ではない。

アマゾンは物流の覇者であり、テック企業だ。

アマゾンが、ほとんどの小売業者の存在を脅かす脅威であるのは確かだ。一方でアマゾンは、市場拡大とデータによる支配を進めるため、顧客中心の戦術を数多く導入してきており、それらは率直に言って、いまや業界標準となっている。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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