26日時点でビットコインの価格は、月初から15%以上下落しており、イーサリアムやその他の主要な通貨はさらに下落している。先週は中国がすべての暗号通貨関連の金融活動を違法としたことで、ビットコインはさらに暴落し、市場全体から1500億ドル(約16.6兆円)もの価値が吹き飛んだ。
JPモルガンのアナリストは、中国の規制強化に先立ち、大口投資家がビットコイン先物への投資から離れ、イーサリアムへの移行を進めていると警告していた。
「これはビットコインにとっての後退であり、ビットコインへのエクスポージャーを得るためにシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)を利用する機関投資家の需要の弱さを反映している」とJPモルガンのアナリストは顧客向けメモで述べた。CMEのビットコイン先物価格は、9月を通じてビットコインの現物価格を下回っていた。
さらに、調査の結果、大口投資家がビットコイン先物を敬遠し、代わりにイーサリアムに軸足を移していることが分かったという。これは、NFTブームや、イーサリアムをベースにした分散型金融(DeFi)への期待の高まりから、時価総額でビットコインに次いで第2位のイーサリアムが勢いを増しているためだ。
JPモルガンによると、CMEにおけるイーサリアム先物プレミアムの21日間平均は、イーサの現物価格を1%上回っているという。
「これは、機関投資家のイーサリアムに対する需要が、ビットコインに比べてはるかに健全であることを示している」とアナリストは指摘した。
今月初め、JPモルガンのマネジングディレクターであるNikolaos Panigirtzoglouは、個人投資家が小規模な暗号通貨をかつてないほどの高値に押し上げており、ビットコインのシェアが過去の水準と比べて、「不快なほど低く」なっていると指摘した。
一部の投資家は、イーサリアムが最終的にビットコインを凌駕すると予測している。
アークインベストメントのキャシー・ウッドCEOは先週、「NFTとDeFiのおかげで、イーサリアムの開発者は活気に満ちている」と述べていた。「私は、DeFiで起こっていることに魅了されている。彼らは、伝統的な金融業界がまだ認めていない方法で、金融サービスのインフラのコストを劇的に低下させている」と、ウッドは述べていた。
しかし、一方では、中国の規制強化によって、暗号通貨の普及が遅れるかもしれないとの懸念も高まっている。
投資プラットフォームeToroの暗号資産アナリストのSimon Petersは、「中国が暗号通貨の取引を禁止したことで、ビットコインやアルトコインは大きく売られており、これが世界の暗号通貨の導入の停滞につながるかもしれない」と述べた。