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足で稼ぐ大学教員が読む経済


だが、過度の楽観は禁物。同社のドル建ての社債への対応は異なる。同じ23日の予定だった利払いが履行されず、30日間の猶予期間に入ったことを米ニューヨークタイムズ紙(電子版)などが伝えた。

今後の最大の焦点は習近平政権が恒大集団を存続させるかどうかである。「当局は直接、救済に踏み切るのか口を閉ざしたままだが、一方で、大きすぎて潰せない( =Too big to fail)企業は中国に存在しないと強調している」(ニューヨークタイムズ紙)。

習政権が恐れる「上級国民優遇」批判


「Too big to fail」に否定的なのは、救済が「上級国民優遇」との批判を招きかねないためだろう。「共同富裕」というスローガンの下での習政権による貧富の格差是正に向けた最近の取り組みとは矛盾する。

だが、破綻に追い込まれれば、中国の金融、不動産業界や経済全般に少なからず打撃を及ぼすのは避けられそうにない。開発プロジェクトなどに遅れが出るのは必至だ。信用収縮を生じさせる可能性も決して否定し切れない。

著名な投資家のジョージ・ソロス氏は英フィナンシャル・タイムズの紙面で「恒大集団はデフォルト(債務不履行)の危機に直面している。それが現実になれば、暴落するケースも考えられる」と警鐘を鳴らす。

習政権はここへきてIT、ゲーム、教育関連の企業に対する規制を強化。これを嫌気して関連銘柄が売られるなど、日本の株式市場は「チャイナリスク」に振り回されている感が強い。ある市場関係者は香港証券取引所のハンセン指数と日経平均の相関の高さに注目。日本株の「ツレ安」を警戒する。恒大集団をめぐって飛び出す好悪両面の材料に当面、一喜一憂する展開を強いられそうだ。

連載 : 足で稼ぐ大学教員が読む経済
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文=松崎泰弘

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