世界が衝撃を受けた画期的な新コルベット ついに日本上陸

コルベット C8


センターコンソールもわかりやすい。4種類のドライブモードは、センターコンソールにあるパッドのダイヤル式コントローラーで気楽に操作できる。パワーステアリング、ブレーキフィール、電子制御ダンパー、パワートレイン、エンジン音、PTM(パフォーマンストラクションマネジメント)などが変えられるドライブモードセレクターを、いちいち弄りたくなるのは僕だけじゃないと思う。また、4つのモードのほかに「Myモード」「Zモード」という2つのカスタマイズモードが用意される。ハンドルに付いている「Zモード」のボタンを押すと、目の前のフルデジタルのディスプレーが赤色に変わり、サスが固くなってアクセルとステアリングのレスポンスがよりクイックになり、そのムードにさせてくれる。V8の「音楽」もまるで音量を8から10に上げたかのように、一段と激しくなる。

さて、FRからミドシップへという重要な変化に付いて語ろう。シボレーの関係者から聞いたところでは、先代がFRレイアウトで可能な限界に到達できたからこそ、これ以上のハンドリング、そしてスリルを実現するにはミドシップに変えるしかないと判断したそうだ。

コルベットを横から見た写真

リアミドシップに搭載されるエンジンは、やはり伝統的な6.2リッターV8 OHV 16バルブが採用された。これはもちろん、何の電気デバイスも付いていない自然吸気のアメリカンV8。8速DCTと組み合わせたV8は、502psと673Nmのパワーを叩き出し、0-100km/hの加速は約3.5秒とスーパーカー並み。

エンジンの写真

渋滞の中でのストップ&ゴー走行では、トランスミッションがたまにギクシャクするけど、それ以外は概ねスムーズで非常に力強い加速性を持つ。発進からの加速、高速道で合流する時など普段のシーンでは、速度コントロールのしやすさやブレーキバランスのよさなど、文句のつけようがない。そして、コーナーに入った時に、ボディ剛性が高いおかげでほとんどロールしないし、姿勢は今までにないほど安定している。

また、ステアリングフィールは市街では軽めだけど、Zモードなどを入れると、ハンドルが適度に重くなって、さすがにターンインがシャープ。やはり、エンジンがミドシップに移動した分、フロントエンドが軽くなって、ステアリングも気楽に素早く方向性を変えられる。ブレンボー製のブレーキ性能も1670kgの車重を力強く制動させるのは文句なし。

C8コルベットの走りや乗り心地は、どのモードでもフェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニなどの欧州のライバルと比較して、ちょうど1段階ずつ柔らかく快適なイメージを受けた。今までにない上品でスポーティな味つけが嬉しい。フルスペックの3LT仕様は1400万円となると、これまでにコルベットが視野に入っていなかった欧州のスーパーカーファンも、C8を真剣に検討する時代になってきたではないか。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

文=ピーター・ライオン

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